総務に配属されたら最初の90日で何を覚える?総務歴10年以上が30・60・90日で解説
「総務に配属されたけれど、何から覚えればいいのか分からない」
「仕事の範囲が広すぎて、全部覚えられる気がしない」
総務になったばかりの頃は、こう感じることもあると思います。
総務の仕事は会社によって担当範囲が大きく違います。
勤怠、備品、契約書、車両、スマートフォン、健康診断、福利厚生、PC、社内システム。
場合によっては採用、経理、情シスまで担当します。
だからこそ、最初から全部覚えようとしなくて大丈夫です。
私は総務・バックオフィスの仕事を10年以上経験してきましたが、新しい会社に入ったときに最初から業務改善やDXを始める必要はないと考えています。
むしろ最初の90日は、
「会社を知る期間」
と考えた方がいいです。
この記事では、新人総務が最初の90日で何を見て、何を覚え、どこまでできればよいのかを、私の経験をもとに紹介します。
総務の仕事全体をまだ把握できていない方は、先に総務の仕事内容をまとめた記事も参考にしてください。
最初の1週間|まず「人」と「会社の性格」を覚える
総務になって最初に覚えてほしいのは、仕事の手順ではありません。
私はまず、
人の名前と顔を一致させること
が大切だと思っています。
社員が多い会社なら、全員を一気に覚えなくていい
50名以上の会社になると、最初から全社員を覚えるのは難しいと思います。
その場合は、
- 経営層
- 部長
- 課長
- チームリーダー
- 各部署の中心人物
あたりから順番に覚えていきましょう。
総務は、各部署へ依頼したり、調整したりする機会が多い仕事です。
何かを変更するときも、社員一人ひとりと直接交渉するのではなく、リーダー格の社員へ相談することが少なくありません。
「この部署のことなら誰へ相談すればいいか」
が分かるだけでも、仕事はかなり進めやすくなります。
勤怠ルールは早い段階で覚える
人と同じくらい重要なのが、勤怠のルールです。
例えば、
- 始業・終業時刻
- 遅刻・早退
- 有給休暇
- 欠勤
- 休日出勤
- 振替休日
- 残業申請
などです。
総務は社員から、
「この場合どう申請すればいいですか?」
と聞かれることがあります。
すべての法律や制度を暗記する必要はありません。
まずは、
自社ではどういう運用になっているのか
を把握しておくことが大切です。
最初の1週間で見てほしいのは「社風」
仕事を覚える前に、もう一つ見てほしいものがあります。
それが、
会社の性格です。
私は新しい会社へ入ったとき、
「この会社は何を大切にしているのか」
を観察します。
例えば、
- 売上を最優先する会社なのか
- ブランドや品質を重視する会社なのか
- 社長の影響力が強い会社なのか
- 現場の裁量が大きい会社なのか
- スピードを重視するのか
- 慎重に合意形成するのか
会社によって判断基準はかなり違います。
総務はルールを運用したり、部署間を調整したりする仕事です。
そのため、
会社の判断軸を知らずに「一般的にはこうだから」と進めると、うまくいかないことがあります。
これから仕事をするうえで、社風を知ることは重要です。
1〜30日|契約書と資産を整理して会社を知る
最初の30日でおすすめしたいのが、
書類の整理です。
総務には本当にいろいろな書類があります。
例えば、
- リース契約
- 社用スマートフォン
- 社用車
- 健康診断
- システム保守
- 複合機
- 通信回線
- 各種サービス
などです。
長く運用している会社ほど、
「この契約はまだ生きているのか?」
「すでに終了しているのにファイルだけ残っていないか?」
ということがあります。
そこで新人のうちは、練習も兼ねて、
契約書の棚卸し
をしてみるのがおすすめです。
契約書を整理すると会社の姿が見えてくる
契約書を見ると、
「会社が何を所有しているのか」
「何を外部へ委託しているのか」
「毎月どんな費用が発生しているのか」
が少しずつ見えてきます。
つまり書類整理は、単なる片付けではありません。
会社の資産や仕組みを知る仕事
でもあります。
私なら、
- どんな契約書があるか確認する
- 契約期間を見る
- 現在も利用しているか確認する
- 管理担当者を確認する
- 更新時期を整理する
という順番で見ていきます。
新人総務にとって、かなり良い会社理解の練習になると思います。
31〜60日|上司や先輩の「手作業」を引き取る
1か月ほど経って会社のことが分かってきたら、次は仕事の範囲を少し広げます。
ここでおすすめしたいのが、
上司やチーム内で手作業になっている仕事を探すこと
です。
例えば、
- 毎月Excelへ入力している
- 請求書を整理している
- 社員データを集計している
- システムからデータを出している
- 各部署へ定型連絡をしている
といった仕事です。
新人でも結果を変えずに担当できる仕事なら、
「これ、私がやりましょうか?」
と引き取ってみてもいいと思います。
上司の時間を空けることも総務の価値
例えば、リーダーが1時間かけている定型作業があるとします。
仮にリーダーの人件費を時給換算で2,500〜3,000円程度、若手社員を1,600〜2,000円程度と考えるなら、同じ結果を出せる作業を若手が担当することで、リーダーはより重要な仕事へ時間を使えます。
もちろん実際の人件費は会社によって異なります。
ここで伝えたいのは、
「自分が仕事を覚える」だけでなく、「誰の時間を空けられるか」という視点を持つこと
です。
総務は、会社全体が仕事をしやすくなる状態をつくる仕事でもあります。
ただし、最初の60日はDXしなくていい
ここはかなり重要です。
新人総務になると、
「このExcel、もっと効率化できそう」
「この申請、システム化した方がいいのでは?」
と思うことがあります。
ですが私は、最初はスルーしていいと思っています。
まずは前年踏襲で構いません。
なぜなら、
今のやり方になった理由をまだ知らないから
です。
以前改善しようとして失敗したのかもしれません。
法令や取引先の事情があるのかもしれません。
特定の部署との調整が必要なのかもしれません。
会社の文化が関係していることもあります。
入社してすぐに、
「この方法は非効率なので変えましょう」
と進めるより、
まず今の方法で一度やってみる。
そのうえで、
「なぜこの運用なのか?」
を確認する方が安全です。
業務改善については、会社を理解してからでも遅くありません。
総務の業務改善についての記事でも詳しく紹介しています。
61〜90日|社員からの質問へ答えられる状態を目指す
3か月目に入ったら、
社員からの基本的な問い合わせに答えられる状態
を目指します。
例えば、
- 勤怠
- 福利厚生
- 社用車
- スマートフォン
- PC
- 各種申請
- 契約状況
などです。
すべてを暗記する必要はありません。
大切なのは、
正しい情報へたどり着けること
です。
自分で処理できなくても、正しい案内ができればいい
私自身、総務・バックオフィスへ入った頃に苦労したのが社会保険などの質問でした。
例えば社員から、
「結婚しました」
「妻を扶養に入れたいです」
「扶養から外したいです」
「どんな手続きが必要ですか?」
と聞かれることがあります。
最初から自分一人ですべての手続きを処理できる必要はありません。
分からなければ、
- 誰へ確認すればいいか
- どの書類が必要か
- どこへ問い合わせればいいか
を案内できればいいのです。
新人総務に必要なのは、
何でも知っていることではなく、正しい場所へ案内できること
だと思っています。
90日後、この6つができれば十分
私なら、新人総務が90日後に次の状態になっていれば十分だと考えます。
1.正しい勤怠を実践し、ルールを理解している
自分自身が勤怠ルールを守り、基本的な問い合わせへ対応できる状態です。
2.契約書類の状況を把握している
何の契約があり、どこに保管され、誰が管理しているのかがある程度分かる状態です。
3.基幹システムの役割を理解している
すべて操作できなくても、
「このシステムは何のために使われているのか」
を説明できれば十分です。
4.PCなどの会社資産を把握している
PC、スマートフォン、車両など、会社が保有・契約している資産の管理方法を理解します。
5.社員の顔と役割を把握している
少なくとも、
誰に何を相談すればいいか
が分かる状態を目指します。
6.年間業務をスケジューリングできる
総務には毎年繰り返す仕事が多くあります。
健康診断、契約更新、年末年始、社内行事などです。
「来月何があるか」
を少しずつ把握できるようになれば、総務としてかなり動きやすくなります。
年間業務については総務の年間スケジュールも参考にしてください。
新人総務は「何でもできる人」にならなくていい
総務には、仕事の幅が広いという特徴があります。
そのため最初は、
「知らないことばかりだ」
と感じると思います。
でも、それで普通です。
総務には「これを取れば一人前」という民間資格があるわけではありません。
私が総務として働いてきて感じるのは、
経験と勘が少しずつ自分の武器になっていく仕事
だということです。
最初は、
「総務の中で、誰が何を担当しているのか」
を把握するだけでも構いません。
そこから一つずつ仕事を経験します。
分からないことがあれば担当者へ聞く。
次は自分でやってみる。
また新しい仕事を覚える。
そうやって少しずつ担当範囲を広げていけばいいと思います。
まとめ|新人総務の最初の90日は「変える」より「知る」
総務へ配属された最初の90日で大切なのは、いきなり成果を出すことではありません。
まず、
1週間目
→ 人・勤怠・社風を知る
1〜30日
→ 契約書や資産を整理し、会社の仕組みを知る
31〜60日
→ 上司や先輩の定型業務を担当する
61〜90日
→ 社員の基本的な問い合わせへ正しく案内できるようになる
この順番で十分です。
そして、最初から業務改善やDXを急がないこと。
今の仕事のやり方には、その形になった理由があるかもしれません。
まず会社を知る。
現在の仕事を経験する。
人を知る。
ルールを知る。
そのうえで、
「ここはもっと良くできるかもしれない」
と考えればいいのです。
総務は、一日で身につく仕事ではありません。
経験を積むほど、
「この場合はこうした方がいい」
という判断材料が増えていきます。
焦らず、一つずつ自分の担当範囲を広げていきましょう。
これから総務を目指している段階の方は、未経験から総務になるためのロードマップから順番に読んでみてください。

