「総務って暇そう」

「総務って普段、何してるの?」

総務として働いていると、一度くらいはこんなことを言われた経験があるのではないでしょうか。

私自身、これまで3社で総務を経験してきましたが、

「総務って何やってるの?」

と、本当によく聞かれます。

毎回すべてを説明するのも大変なので、最近は、

「なんでしょうね。色々です(笑)」

と答えることもあります。

ネットワークを触ったり。

システムを作ったり。

社内規則を変更したり。

もちろん備品や設備を管理することもあります。

しかも総務が扱う情報の中には、まだ社員に公開できないものもあります。

だから余計に、

「総務が何をしているのか分からない」

と思われやすいのかもしれません。

では、本当に総務は暇な仕事なのでしょうか。

総務・採用・情シスなどバックオフィスの仕事を10年以上経験してきた私なりに考えてみます。


結論、総務は「暇」というより「安定している」

私自身は、総務を単純に「暇な仕事」だとは思っていません。

どちらかというと、

仕事量を安定させやすい仕事

だと思っています。

たとえば営業や物流、製造、現場系の仕事では、

「午前中に受注が集中する」

「今日中に出荷しなければならない」

「○時までに現場調査を終わらせなければならない」

など、自分ではコントロールできない時間軸で仕事が動くことがあります。

もちろん総務にも締切はあります。

突発的な仕事もあります。

ただ、比較的、

自分で仕事の順番を組み立てられる業務が多い

と感じています。

健康診断。

契約更新。

法定の届出。

社内行事。

設備管理。

規程の改定。

年間スケジュールがある程度分かっている仕事も少なくありません。

そのため、

「来月これがあるから今週から準備しておこう」

と前倒しできます。

タスクマネジメントができれば、仕事量を平準化しやすい。

これが外から見ると、

「総務って暇そう」

に見える理由の一つなのかもしれません。


そもそも総務の仕事は外から見えにくい

総務が暇そうに見える最大の理由は、

何をしているのか分かりにくいから

だと思っています。

営業なら分かりやすいですよね。

お客様と商談している。

電話している。

外出している。

売上という数字もあります。

製造なら、製品を作っています。

物流なら、商品を運んでいます。

では総務は?

PCを見ています。

……。

これだけでは何をしているのか分かりません(笑)

でも、そのPCでは、

就業規則を確認しているかもしれません。

新しいシステムを構築しているかもしれません。

契約書をチェックしているかもしれません。

BCPを作っているかもしれません。

来期の組織変更に向けた準備をしているかもしれません。

総務の具体的な仕事内容については、「総務の仕事内容とは?10年以上働いてわかった『本当の仕事』」で、私が実際に経験してきた業務を詳しく紹介しています。


総務には「言えない仕事」もある

もう一つ、総務の仕事が見えにくい理由があります。

それは、

まだオープンにできない情報を扱うことがあるからです。

会社によって担当範囲は違いますが、総務は経営層や人事、法務などに近い情報を扱うことがあります。

組織。

人事。

規則。

契約。

経営に関する情報。

社員から、

「最近何やってるんですか?」

と聞かれても、

今はまだ言えない。

という仕事もあります。

だから、

「色々です(笑)」

としか答えられないこともあります。

本人は結構忙しくても、周囲から見ると、

「ずっとPC見てるけど何やってるんだろう?」

となるわけです。


総務が暇なのは悪いことなのか?

私は、

総務が暇なこと自体は、必ずしも悪いことではない

と思っています。

なぜなら、総務が突然大忙しになるときは、

会社で何か起きている可能性があるからです。

設備が壊れた。

PCが動かない。

ネットワークが止まった。

社員が事故に遭った。

災害が発生した。

労務トラブルが起きた。

こうしたとき、総務は一気に忙しくなります。

逆に言えば、

設備が正常に動いている。

システムも動いている。

事故もない。

災害もない。

大きな社内トラブルもない。

必要な手続きも予定通り終わっている。

そんな状態なら、総務が落ち着いているのは当然かもしれません。

だから私は、

総務に余裕がある=仕事をしていない

とは思いません。

むしろ、

会社が平常運転できている証拠

でもあります。


総務が本当に忙しくなる時期

もちろん、一年中ずっと安定しているわけではありません。

私の経験では、特に忙しくなりやすいのが、

長期休暇の前後と年度末

です。

年末年始。

ゴールデンウィーク。

夏季休暇。

社員の皆さんは、

「休みだぁ!!」

という感じかもしれません。

総務ももちろんうれしいです(笑)

でも、その前にやることがあります。

会社を安全に止めなければいけません。


会社を「休ませる」にも仕事がある

会社は、

「明日から休みなので、みんな帰ってください」

だけでは終わりません。

たとえば、

ゴミは残っていないか。

サーバーやシステムのメンテナンスは必要ないか。

セキュリティは問題ないか。

休暇中に何か起きた場合の緊急連絡先は決まっているか。

設備は安全か。

植栽があるなら、水やりはどうするのか。

長期間誰も出社しないなら、普段とは違うリスクがあります。

総務は、

会社を動かす準備だけでなく、会社を安全に止める準備

もします。

そして休暇が終われば、

今度は会社を正常に動かさなければいけません。

こうした仕事は社員からは見えにくいですが、総務にとって長期休暇前後は意外と忙しい時期です。


暇なとき、総務は何をすればいい?

では、本当に仕事が落ち着いたら何をするのか。

私は、

「前から気になっていたこと」をやる時間

にしています。

総務には、

緊急ではない。

今日やらなくても困らない。

でも、いつかやった方がいい。

そんな仕事がたくさんあります。


古いPCやスマホを処分する

たとえば、

昔使っていたPC。

古いスマートフォン。

使わなくなったサーバー。

「そのうち処分しよう」

と思いながら、倉庫に眠っていることがあります。

こうしたものを整理します。

もちろんPCやスマートフォンには情報が入っている可能性があるため、適切なデータ消去や処分方法も確認する必要があります。


契約内容を見直す

リース車両などの契約も確認します。

今の契約内容は適切なのか。

もっと良い条件はないのか。

使われていない契約はないか。

普段は、

「契約が正常に続いているから問題ない」

と後回しになりがちです。

時間があるときだからこそ見直せます。


オフィスを歩いてみる

これもおすすめです。

普段働いているオフィスを改めて見てみます。

会議室の椅子が汚れている。

キャスターが壊れている。

壁に傷がある。

使われていない備品が置かれている。

掲示物が古い。

「あれ、前から気になってたんだよな」

というものが意外と見つかります。

緊急ではありません。

でも、こうした小さな改善を積み重ねることも総務の仕事だと思っています。


「総務なのに暇で不安」という人にやってほしいこと

もし若手の総務担当者から、

「仕事が暇なんです。総務ってこんなものなんでしょうか?」

と相談されたら、

私は一つおすすめしたいことがあります。

シミュレーションをしてみてください。

たとえば、

明日、震度6強の地震が起きたら?

総務として最初に何をしますか?

社員の安否確認は?

誰が経営者に報告する?

会社に出社する?

それとも自宅待機?

就業時間外だったら?

電車が止まっていたら?

非常食は何日分ある?

賞味期限は大丈夫?


社用車で事故が起きたら?

社員から、

「社用車で物損事故を起こしました」

と電話が来ました。

何を指示しますか?

警察への連絡は?

保険会社は?

リース会社は?

会社への報告は?

相手方への対応は?

すぐ答えられるでしょうか。


社員が仕事中に怪我をしたら?

救急車を呼ぶ?

病院は?

上司への報告は?

家族への連絡は?

労災は?

総務として、正しい初動を指示できるでしょうか。

こうやって考えていくと、

総務に本当の意味で「何もすることがない時間」は意外と少ない

と思います。


暇な総務ほど「有事の準備」をしておく

総務は不思議な仕事です。

何も起きていないと、

「暇そう」

に見えます。

でも、何か起きた瞬間、

「総務さん、どうすればいいですか?」

と人が集まってきます。

だから平時に準備します。

地震が起きたらどうする。

台風が来たらどうする。

事故が起きたらどうする。

システムが止まったらどうする。

社員が怪我をしたらどうする。

想定できることは、事前に想定する。

そして、

総務としての初動や会社としての方針を、あらかじめ関係者と打ち合わせておく。

これが大切です。

総務に向いている人の特徴については、「総務に向いている人・向いていない人」でも詳しく紹介しています。


総務は「暇」ではなく、余白をつくれる仕事

私は総務を、

暇な仕事というより、安定させやすい仕事

だと思っています。

自分でタスクを管理する。

期限から逆算する。

仕事を前倒しする。

トラブルを事前に想定する。

そうすることで、余裕を作ることができます。

そして、その余裕は悪いものではありません。

むしろ総務には、

余白が必要だと思っています。

なぜなら会社で何か起きたとき、対応するのが総務だからです。

普段から予定をぎっしり詰め込んでいたら、突発的なトラブルに対応できません。

何も起きていない。

仕事も予定通り進んでいる。

総務に少し余裕がある。

それなら、

会社としては良い状態なのかもしれません。

ただし、その時間に何もしなくていいわけではありません。

オフィスを見渡す。

古い契約を見直す。

備品を整理する。

そして、

「もし明日、何か起きたら?」

と考えてみる。

総務の仕事は、問題が起きてから始まるのではありません。

何も起きていないときに、何かが起きたときの準備をする。

それも総務の大切な仕事だと思っています。