「総務って、普段何をしているの?」

総務として働いていると、意外とよく聞かれる質問です。

備品を発注したり、電話を取ったり、社内イベントの準備をしたり。

そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。

もちろん、それも総務の仕事です。

でも、私はこれまで3社で総務というポジションを経験してきましたが、実際にやってきた仕事を並べてみると、それだけではありません。

原価管理システムの導入。

採用。

ホームページの改修。

Microsoftライセンスの切り替え。

kintoneの導入。

複合機やサーバーの入れ替え。

BCPや防災訓練。

契約書のリーガルチェック。

就業規則の改定や新設。

支店の登記。

Pマークの取得・更新。

ISOの更新。

予実管理。

そして、ときには社長の運転手まで。

「それ、本当に全部総務の仕事なの?」

と思いますよね。

私もそう思います。

でも、これが総務です。

この記事では、総務・採用・情シスなどバックオフィスの仕事を10年以上経験してきた私が、教科書的な仕事内容だけではなく、実際に働いてわかった「総務という仕事のリアル」を紹介します。


総務とは「会社全体が動くための環境をつくる仕事」

総務を一言で説明してください。

そう聞かれたら、私は、

「会社のオールラウンダー」

と答えます。

総務は営業のように商品を売るわけではありません。

製造部門のように製品を作るわけでもありません。

そのため、何をしている部署なのか外から見えにくい仕事でもあります。

でも、会社を一つの手術チームに例えると、私は総務を「麻酔科医」のような存在だと思っています。

営業部が執刀医だとします。

営業サポートが、必要な器具を準備して執刀医を支える役割だとします。

では、総務は何をするのか。

会社全体の状態を管理します。

社員が安全に働ける環境をつくる。

PCやシステムを使えるようにする。

会社として守らなければならないルールを整える。

災害が起きたときに会社をどう動かすか考える。

そして、営業や現場の社員が自分の本来の仕事に集中できる状態をつくる。

これが総務の大きな役割だと私は考えています。


総務の仕事内容は会社によって大きく違う

総務の特徴の一つが、

「会社によって仕事内容が全然違う」

ことです。

大きな会社なら、

人事部

法務部

情報システム部

経営企画部

広報部

と専門部署が分かれています。

しかし、すべての会社に専門部署があるわけではありません。

特に中小企業では、

「これ、どこの部署がやるの?」

となった仕事が総務に集まってくることがあります。

私自身も、会社によって担当してきた仕事は大きく違いました。


1.備品・オフィス・設備の管理

これは多くの方がイメージする総務の仕事だと思います。

文房具や消耗品の管理。

机や椅子などの什器。

複合機。

電話。

社用車。

オフィス設備。

こうした「社員が仕事をするために必要なもの」を管理します。

私も、

  • 複合機の入れ替え
  • リース車両の契約・入れ替え
  • オフィスのレイアウト変更

などを経験しました。

ただ購入するだけではありません。

契約条件を確認したり、業者と交渉したり、社内の要望をまとめたり、予算を確認したり。

一つの設備を入れ替えるだけでも、意外と多くの人と調整します。


2.PC・システム・DX

会社によっては、総務が情シスの役割を兼ねることがあります。

私も、

  • 原価管理システムの導入
  • Microsoftライセンスの切り替え
  • kintoneの導入
  • サーバーの入れ替え
  • ホームページ改修
  • PC関連業務

などを担当してきました。

システム導入は、

「新しいシステムを契約すれば終わり」

ではありません。

現場の業務を理解して、

何が問題なのか整理して、

システムを選んで、

社内に説明して、

実際に使ってもらう。

ここまでやって、初めて導入です。

DXという言葉だけを見るとIT部門の仕事に見えますが、実際には会社全体を横断できる総務だからこそ関わりやすい仕事でもあります。


3.採用・新人教育

会社によっては人事と総務が一緒になっていることもあります。

私自身も採用業務を経験してきました。

また、

  • 中途入社者のオリエンテーション
  • 新人教育
  • 入社に伴う各種準備

なども担当しました。

総務は入社後も社員と関わる部署なので、

「採用して終わり」

ではありません。

社員が会社で働くための環境を整えるところまで関わることがあります。


4.法務・契約書・就業規則

「これも総務なの?」

と思われやすい仕事の一つです。

私も、

  • 契約書のリーガルチェック
  • 就業規則の書き換え
  • 新しい規程の作成
  • 支店の登記

などを経験しました。

法務部がない会社では、総務が法務に近い役割を担うことがあります。

もちろん、総務担当者だけで法律判断をするわけではありません。

必要に応じて顧問弁護士や社会保険労務士などの専門家からアドバイスを受けながら進めます。

それでも、

「何が問題なのか」

を理解して専門家につなぐためには、総務側にも一定の知識が必要です。

総務というと事務職のイメージが強いかもしれません。

でも実際には、法律を相手にする場面もあります。


5.行政への届出・コンプライアンス

私が総務の仕事で特に大変だと思うのが、この分野です。

労働基準監督署や行政機関などに提出する書類には、期限があります。

そして内容によっては、

「知らなかった」

では済まされません。

たとえば時間外・休日労働をさせる場合には、原則として36協定の締結・届出が必要になります。

労使協定を締結する際の労働者側の代表についても、法令上の要件を満たす形で適正に選出する必要があります。

ほかにも、一定台数以上の自動車を使用する事業所では、安全運転管理者の選任が必要になる場合があります。

また、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者や産業医の選任などが必要になります。

会社の規模が大きくなることで、新しく発生する義務もあります。

「今まで大丈夫だったから」

では通用しないことがあります。

だから総務は、

法改正や社会の変化に常にアンテナを張っておく必要があります。

総務が必要な対応を見落とせば、会社そのものが法令違反のリスクを抱えることになります。

ここは、総務の仕事の中でも非常に責任の重い部分だと思っています。

※実際の選任・届出要件は事業場や業務内容等によって異なるため、最新の法令・行政機関の案内や専門家への確認が必要です。


6.BCP・防災・自然災害への対応

自然災害も総務の守備範囲になることがあります。

私は、

  • BCP
  • 防災訓練

などにも関わってきました。

さらに実際に台風が接近しているなら、

「明日は通常通り出社するのか」

「在宅勤務を推奨するのか」

「時差出勤にするのか」

などを考える必要があります。

会社のルールだけを機械的に運用すればいいわけではありません。

社員の安全。

事業への影響。

交通機関。

顧客対応。

さまざまな要素を考えながら判断する必要があります。

こうした正解のない突発対応も総務の仕事です。


7.社内イベント・会社行事

  • 表彰式
  • 歓迎会
  • 懇親会
  • 年度末の挨拶回り

こうした会社行事も総務が担当することがあります。

会場を予約して終わりではありません。

日程調整。

参加者確認。

予算。

案内。

当日の進行。

役員対応。

細かな仕事を積み重ねて、ようやく一つのイベントが成立します。

うまくいけば何事もなく終わります。

むしろ、

「何事もなく終わること」が総務の成果

だったりします。


8.広報・ホームページ・SNS

私は、

  • 広報
  • ホームページ改修
  • SNS担当

も経験しました。

これも会社によって担当部署が大きく違う仕事です。

広報部があれば広報部。

マーケティング部があればマーケティング部。

そういった部署がなければ総務。

総務にはこういう仕事がたくさんあります。


9.Pマーク・ISOなどの認証対応

私自身、

  • Pマークの取得・更新
  • ISOの更新

も担当しました。

こうした認証は、一度取得すれば終わりではありません。

ルールを整備し、

社内に周知し、

必要な記録を残し、

運用を続ける必要があります。

会社全体を巻き込む必要があるため、部署横断で動く総務が担当するケースがあります。


10.経営に近い仕事

総務の仕事を続けていると、経営に近い情報に触れることもあります。

私自身、

  • 決算予想
  • 予実管理

などにも携わりました。

総務は社員に近い部署であると同時に、経営者にも近い部署になることがあります。

社長が会社を将来どうしたいのか。

部長たちは何を目標にしているのか。

若手社員は何に不満を感じているのか。

パート社員からどんな要望が出ているのか。

いろいろな立場の人の声が集まってきます。

これは総務という仕事の、とても面白いところです。


総務は「何でも屋」なのか?

私は総務というポジションを3社経験しました。

そして、3社すべてで聞いた言葉があります。

「総務は何でも屋だから」

です。

確かにそうだと思います。

実際、私はシステム導入から契約書、採用、広報、社内行事、就業規則、BCP、そして社長の運転手まで経験しました。

ここまで仕事の幅が広い部署は珍しいかもしれません。

でも私は、

「何でも屋」という言葉をネガティブには捉えていません。

総務にしかできない仕事もたくさんあります。

専門的な知識が必要な仕事もあります。

一方で、専門家ほど深くなくても、

法律。

IT。

労務。

採用。

設備。

防災。

経営。

さまざまな分野について、浅く広く知識を持っていなければ対応できない仕事もあります。

そして問題が起きたとき、

「これは誰に相談すれば解決できるのか」

を判断する力も必要です。

私は、この幅広さこそ総務の専門性だと思っています。


総務で一番大変なのは「知らなかった」が通用しないこと

総務には目立たない仕事がたくさんあります。

何も問題が起きていないと、

「総務って暇そう」

と思われることもあるかもしれません。

でも、実際には、

申請期限を忘れてはいけない。

法改正を見落としてはいけない。

災害に備えなければならない。

システムを止めてはいけない。

社員が安全に働ける環境を維持しなければならない。

問題が起きてから、

「知りませんでした」

では済まない仕事があります。

何も起きないように準備する。

何か起きたらすぐ動く。

この両方が求められるのが総務です。


それでも私が総務を面白いと思う理由

総務をやっていて良かったと思うことがあります。

それは、

いろいろな立場の人と話ができることです。

経営者と会社の未来について話すことがあります。

部長から部署の課題を聞くことがあります。

若手社員から不満を聞くこともあります。

パート社員から働き方について要望をもらうこともあります。

総務には、会社のいろいろな声が集まります。

そして、その声を全部そのまま実現することはできません。

会社を存続させること。

法律を守ること。

社員が働きやすいこと。

経営として成立すること。

いろいろな立場を考えながら、

会社のルールをつくる側に回る。

ここに総務の難しさと面白さがあると思っています。


総務に向いているのは「何でも経験してみたい人」

総務に向いている人については、別の記事で詳しく書きたいと思います。

ただ、一つだけ挙げるなら、

いろいろなことに興味を持てる人

だと思います。

「これは私の仕事ではありません」

と明確に線を引きたい人にとって、総務は大変な仕事かもしれません。

逆に、

「面白そうだから調べてみよう」

「やったことないけどやってみよう」

「分からないから詳しい人に聞いてみよう」

と思える人には、とても面白い仕事です。

私自身、最初からITや法律、採用、BCPなどに詳しかったわけではありません。

仕事として必要になったから調べる。

経験する。

また新しい仕事が来る。

その繰り返しで、できることが増えていきました。

総務は、働きながらオールラウンダーになれる仕事だと思います。

「これは私の仕事ではありません」と明確に線を引きたい人にとって、総務は大変な仕事かもしれません。

逆に、「面白そうだから調べてみよう」「やったことないけどやってみよう」と思える人には、とても面白い仕事です。

では、具体的にどんな人が総務に向いているのでしょうか。10年以上総務として働いて感じた特徴を、「総務に向いている人・向いていない人」で詳しく解説しています。


私は「総務は会社の最後の砦」だと思っている

総務は売上を直接つくる部署ではありません。

だから、成果が数字で見えにくい仕事です。

でも、

PCが普通に動く。

電気がつく。

必要な契約が更新されている。

社員が安全に働ける。

法律上必要な手続きがされている。

災害に備えている。

会社のルールが整っている。

営業が営業に集中できる。

現場が現場の仕事に集中できる。

その「普通」を守っている人がいます。

私は、それが総務だと思っています。

会社を手術チームに例えるなら、総務は麻酔科医のような存在です。

自分が主役になるのではなく、

会社全体を見ながら、本業を担う人たちが自分の仕事に集中できる状態をつくる。

そして、何か問題が起きたときには最後まで対応する。

3社で総務を経験してきましたが、私は「何でも屋」と呼ばれるこの仕事を誇りに思っています。

総務は、会社の最後の砦です。

これからこのブログでは、総務・採用・情シスなど10年以上のバックオフィス経験をもとに、教科書だけでは分からない「総務のリアル」を発信していきます。

総務を目指している方。

今まさに総務として働いている方。

そして、

「総務って何をしている部署なんだろう?」

と思っている方に、少しでも総務という仕事の面白さが伝わればうれしいです。