総務は何でも屋・雑用係?3社で働いてわかった「何でもできる人」の強さ
「総務は何でも屋だから」
私はこれまで3社で総務という仕事を経験してきました。
不思議なことに、3社すべてでこの言葉を聞きました。
確かに、総務の仕事を並べてみると「何でも屋」と言われる理由はよく分かります。
電球交換。
落とし物。
ゴミ。
席替え。
鍵の管理。
トイレ。
草むしり。
忘年会。
PCのトラブル対応。
契約書。
就業規則。
システム導入。
BCP。
同じ部署が担当する仕事とは思えませんよね(笑)
「総務って雑用係なの?」
と思う人もいるかもしれません。
私は、半分は正しいと思っています。
雑用だってやります。
でも、総務を10年以上経験して思うことがあります。
「何でも屋」と「雑用しかできない人」は、まったく違います。
むしろ私は、
いろいろな仕事を経験できることこそ、総務という仕事の面白さであり、強みなのではないか
と思っています。
今回は、総務・採用・情シスなどバックオフィスの仕事を10年以上経験してきた私が、「総務は何でも屋なのか?」について実体験から考えてみます。
- 総務は確かに「何でも屋」だと思う
- 「トイレの泡石鹸がないよ?」
- 「そもそも私はパソコン屋さんじゃない!!」
- 総務と情シスの境界は曖昧になっている
- でも、総務は「Google」ではありません
- 年末調整で「妻に仕事するように言ってよ」
- 何でも屋だからこそ身についたもの
- 壊れたPCをバラバラにしてみた
- 法律も「知っている」より「調べられる」が大事
- 営業電話でも「本当に必要?」と考えるようになった
- 何でも屋でも「何でもやる」わけではない
- 給与に直結する入力を代行しない
- 専門家に任せるべきことは専門家へ
- 「雑用ばかりで辞めたい」と思ったら
- コピー用紙一つでも考えられることはある
- 片付けをすると会社が見える
- 「雑用」を「仕事」に変えるのは自分かもしれない
- そして総務は「最後の砦」になる
- トラブルが起きる前も、起きた後も総務
- 総務の専門性は「幅広さ」だと思う
- 私は「総務は何でも屋」を誇りに思っている
総務は確かに「何でも屋」だと思う
最初に否定しておくのではなく、認めてしまいます。
総務は何でも屋です。
少なくとも、私が経験してきた会社ではそうでした。
総務の具体的な仕事内容については、「総務の仕事内容とは?10年以上働いてわかった『本当の仕事』」でも詳しく紹介していますが、本当に守備範囲が広い仕事です。
たとえば電球が切れた。
総務です。
落とし物が届いた。
総務です。
席替えをする。
総務です。
鍵がない。
総務です。
トイレで何か起きた。
総務です。
忘年会を開催する。
総務です。
会社によって担当部署は違いますが、
「これ、誰がやるの?」
となった仕事が総務にやってくることは珍しくありません。
「トイレの泡石鹸がないよ?」
実際にこんなことを言われたことがあります。
「トイレの泡石鹸がないよ?」
心の中では、
「洗面台の下の扉を開けたら、詰め替えボトルあるよ!!」
と思います(笑)
まあ、総務でやりますけどね。
こういう仕事もあります。
一つひとつを見ると、
「これって総務の仕事なの?」
と思うようなことも少なくありません。
でも、総務をやっていると、だんだん驚かなくなってきます。
「そもそも私はパソコン屋さんじゃない!!」
特に多いのがPC関連です。
会社によっては、
社員数よりPCの台数の方が多い
こともあります。
社員一人に1台。
場合によっては一人2台。
さらに、
受付用。
会議室用。
防犯カメラ用。
RPA用。
共有端末。
用途ごとにPCがあります。
すると当然、いろいろな問い合わせが来ます。
「PCがフリーズしました」
「上書きする前にデータを消しちゃいました」
「ネットにつながりません」
「PCを買い替えたら動きません」
「ライセンスを移行しないで古いPCを捨てちゃいました」
「スマホのバッテリーの持ちが悪いです」
総務や情シス側で状態を確認して、原因を調べます。
再起動したり。
設定を確認したり。
ネットワークを確認したり。
メーカーの情報を調べたり。
それでも直らないことがあります。
そんなとき、
「なんだよ、直らないのかよ」
みたいな空気を感じることがあります。
そのとき心の中で叫びます。
「そもそも私はパソコン屋さんじゃない!!」
……まあ、調べますけどね(笑)
総務と情シスの境界は曖昧になっている
本来、こうしたPCやネットワーク、システムの管理は「情報システム部」、いわゆる情シスが担当する領域です。
しかし、すべての会社に専任の情シスがいるわけではありません。
特に人員が限られている会社では、
総務が情シスを兼任している
ケースもあります。
PC。
スマートフォン。
Microsoft 365などのライセンス。
ネットワーク。
情報セキュリティ。
ウイルス対策。
個人情報保護。
SNSに関するリスク。
企業が対応しなければならないIT・セキュリティ分野は増えています。
だから今後は、
「総務だけどITのことは全く分かりません」
では難しい会社も増えてくるのではないかと思っています。
このテーマは「総務と情シスの兼任」として、別の記事でも詳しく書きたいと思います。
でも、総務は「Google」ではありません
総務をしていると、だんだん問い合わせ窓口のようになることがあります。
以前、
「取引先のECサイトのここって、どうやって変更するか分かりますか?」
と聞かれたことがあります。
分かりません(笑)
私はそのECサイトのメーカーでも、開発会社でもありません。
「こんなエラーコードが出たんですが……」
と言われることもあります。
これも、
先方の情シスかサポート窓口に聞いてください(笑)
という話です。
総務は幅広い仕事をします。
だからといって、
世の中のすべてを知っているわけではありません。
分からないものは分からない。
ただし、
「誰に聞けば解決できるのか」
を考える。
これも総務に必要な能力だと思っています。
年末調整で「妻に仕事するように言ってよ」
年末調整の時期には、さらにいろいろな相談が来ます。
以前、
「妻に仕事するように言ってよ(怒)」
と言われたことがあります。
いや、
そこまで総務の守備範囲ではありません(笑)
もちろん、扶養や税金に関する制度について説明することはあります。
でも、ご家庭の働き方まで総務が決めることはできません。
総務を長くやっていると、
「どこまで答えるべきなのか」
という線引きも大切になってきます。
何でも屋だからこそ身についたもの
私は「総務は何でも屋」という言葉を、ネガティブには捉えていません。
なぜなら10年以上総務を経験して、
本当にいろいろな能力が身についたからです。
PCに詳しくなりました。
法律を調べられるようになりました。
業者と交渉できるようになりました。
経営者とも若手社員とも話せるようになりました。
トラブルが起きても、以前より冷静に考えられるようになりました。
そして何より、
「分からないことを自分で調べる力」
が身についたと思っています。
壊れたPCをバラバラにしてみた
PCについても、最初から詳しかったわけではありません。
壊れて使わなくなったデスクトップPCがあれば、
バラバラにして構造を観察してみる。
部品を交換する練習台にしてみる。
そんなことをしていました。
すると、
「これはメモリか」
「ここにSSDがあるのか」
「この部品はこうやって交換するのか」
と少しずつ分かってきます。
今では、メモリやSSDの交換くらいなら自分でできるようになりました。
最初から知っていたわけではありません。
仕事で必要になったから、調べて、触って、覚えた。
総務では、こういうことがたくさんあります。
法律も「知っている」より「調べられる」が大事
法律も同じです。
総務は法律に関わる場面があります。
しかし、すべての法律を暗記することはできません。
大切なのは、
法改正があった。
↓
自社に関係があるのか。
↓
義務なのか。
努力義務なのか。
↓
いつまでに対応する必要があるのか。
↓
会社として何を変える必要があるのか。
こうやって調べることです。
法律や社会環境は変わります。
だから、
「一度覚えたから大丈夫」ではありません。
常に情報を更新する必要があります。
営業電話でも「本当に必要?」と考えるようになった
総務には営業電話もたくさん来ます。
飛び込み営業の対応をすることもあります。
「最新の○○です」
「今、多くの企業が導入しています」
「これから必須になります」
そんな話を聞くこともあります。
でも、すぐに、
「すごい!導入しましょう!」
とはなりません。
本当に自社に必要なのか。
オーバースペックではないか。
投入するコストに見合うのか。
既存サービスと重複していないか。
説明に矛盾はないか。
自然と考えるようになりました。
総務は会社のお金を使う側になることもあります。
だから、
「良さそう」ではなく「自社に必要か」
を考える力が必要です。
これも、何でも屋としていろいろなサービスや業者と関わってきたから身についた力だと思います。
何でも屋でも「何でもやる」わけではない
ここはとても重要です。
私は総務を何でも屋だと思っています。
でも、
何でも引き受ければいいとは思っていません。
明確に線を引いている仕事もあります。
給与に直結する入力を代行しない
たとえば勤怠。
経費。
本人が入力・申請すべきものを、総務が代わりに入力することは基本的にしません。
なぜなら、
給与やお金に直接影響するからです。
総務が入力を代行して間違えれば、
「総務が間違えた」
という話になります。
本人が確認すべきもの。
上司が承認すべきもの。
総務が確認すべきもの。
役割を分けることが大切です。
何でも屋だからこそ、
「これは誰が責任を持つ仕事なのか」
を曖昧にしてはいけないと思っています。
専門家に任せるべきことは専門家へ
就業規則の改定なども同じです。
社内で、
「こういうルールにしたい」
と検討することはあります。
総務が草案を作ることもあります。
しかし、最終的には社会保険労務士などの専門家に確認してもらってからリリースします。
法律に関わる仕事だからこそ、
総務だけで何でも判断しない。
これも大切です。
「何でもできる」と、
「何でも自分だけでやる」
は違います。
「雑用ばかりで辞めたい」と思ったら
若手の総務担当者から、
「コピー用紙を補充したり、会議室を片付けたり、雑用ばかりです」
と言われたら、私はこう伝えたいです。
意味のない仕事って、そんなにないと思います。
たとえば、トイレの泡石鹸。
ただ補充するだけなら、確かに雑用です。
でも少し考えてみます。
いくらで買っている?
月にどのくらい使う?
購入先は適切?
もっと安いところはない?
液体と泡ならどちらがいい?
香りは必要?
詰め替え方法は効率的?
一つの石鹸からでも、これだけ考えられます。
コピー用紙一つでも考えられることはある
コピー用紙も同じです。
毎月どのくらい使っている?
前年より増えている?
なぜ増えた?
ペーパーレス化できない?
購入単価は適切?
在庫を持ちすぎていない?
ただ、
「コピー用紙がなくなったから補充する」
で終わることもできます。
でも、
「なぜ?」
を一つ加えるだけで、仕事は変わります。
片付けをすると会社が見える
会議室を片付ける。
これも雑用に見えます。
でも、実際に片付けると気づくことがあります。
この備品、誰も使っていないな。
ここに置く必要ある?
椅子が壊れている。
このレイアウト、使いにくくない?
掲示物が古い。
片付けることで、
普段見えていなかった会社の問題が見える
ことがあります。
だから私は、
庶務に全力を注ぎましょう!
とまでは言いません(笑)
でも、
積極的に取り組んだ経験は、いつか自分に返ってくる
と思っています。
「雑用」を「仕事」に変えるのは自分かもしれない
同じ石鹸を補充する仕事でも、
Aさんは、
「なくなったから補充した」
で終わる。
Bさんは、
「毎月何個使っているんだろう?」
と考える。
さらに、
「まとめて購入したら安くならない?」
「在庫数を決めた方がよくない?」
と考える。
同じ仕事でも、得られる経験は変わります。
総務は小さな仕事が多いからこそ、
自分で考える練習ができる仕事
でもあると思っています。
そして総務は「最後の砦」になる
総務の仕事は幅広いです。
でも、その幅広さが最も必要になるのは、
会社で何か起きたとき
だと思っています。
たとえばBCP。
明日、震度6強の地震が起きたらどうするのか。
社員の安否を確認できるか。
会社の被害状況を把握できるか。
役員に正確な情報を伝えられるか。
社員に適切な指示を出せるか。
システムは動いているか。
建物は安全か。
誰が出社するのか。
誰が判断するのか。
その場になってから、
「どうしましょう?」
では遅いことがあります。
だから平時に考えます。
トラブルが起きる前も、起きた後も総務
私は総務という仕事を、
会社の最後の砦
だと思っています。
トラブルが起きる前に手を打つのも総務。
トラブルが発生したら対処するのも総務。
普段は、
「石鹸がないよ」
と言われているかもしれません。
PCが動かなければ、
「直して」
と言われます。
会議室の椅子が壊れれば交換します。
でも、会社に大きな問題が起きたときには、
社員の安全。
設備。
システム。
法律。
規則。
経営。
さまざまなことを考えながら動かなければなりません。
普段からいろいろな部署や仕事に関わっているからこそ、
会社全体を見ることができる。
それが「何でも屋」の強さなのかもしれません。
総務の専門性は「幅広さ」だと思う
一般的に専門性というと、
「一つの分野を深く知っていること」
をイメージするかもしれません。
もちろん、それも専門性です。
でも私は、
幅広い分野をつなげられることも専門性
だと思っています。
PCの話が分かる。
法律も少し分かる。
労務も分かる。
設備も分かる。
契約も分かる。
会社の組織も分かる。
そして、
自分で分からなければ、
「誰に聞けば解決できるのか」が分かる。
これが総務の強みです。
総務に向いている人・向いていない人については、別の記事でも詳しく紹介しています。
私は「総務は何でも屋」を誇りに思っている
総務を3社経験しました。
3社すべてで、
「総務は何でも屋だから」
という言葉を聞きました。
私は、この言葉が嫌いではありません。
電球を交換することもあります。
トイレの石鹸を補充することもあります。
PCを直すこともあります。
契約書を確認することもあります。
システムを作ることもあります。
災害への備えを考えることもあります。
ここまでいろいろな経験ができる仕事は、なかなかありません。
だから、
「総務=雑用係」
と言われたら、少し違うと思います。
雑用もやる。
専門的な仕事もやる。
会社全体を見る。
そして、何か起きたら動く。
それが総務です。
私は、
「何でも屋」ではなく、「何でもできる屋」
くらいに思っています。
そして今日も、
「総務さん、ちょっといいですか?」
と呼ばれます。
今度は何でしょうね(笑)
それも含めて、私は総務という仕事を面白いと思っています。



