「総務って、結局どんな仕事をするの?」

総務について聞かれたとき、一言で説明するのは意外と難しいです。

備品を管理する。

郵便物を受け取る。

電話に出る。

社内行事を準備する。

もちろん、これらも総務の仕事です。

しかし、10年以上総務に関わってきた私にとって、総務は単なる「雑務を担当する部署」ではありません。

私は、総務を舞台監督のような存在だと思っています。

社員一人ひとりが自分の仕事に集中できるように会社という舞台を整える。

問題が起きれば原因を調べる。

会社が進む方向に合わせて制度や仕組みを変える。

必要であれば、新しいシステムや働き方を提案する。

表舞台で目立つ仕事ではないかもしれません。

しかし、水面下では会社を大きく左右する役割を持っています。

今回は、総務歴10年以上、複数の会社で総務・経理・採用・広報・情シス・システム導入などを経験してきた私が、

  • 総務とはどんな仕事なのか
  • 具体的に何を担当するのか
  • どんな人に向いているのか
  • 必要なスキルや資格
  • 総務の一日と年間スケジュール
  • 総務としてのキャリア
  • AI時代にどう変わっていくのか

まで、総務という仕事をまとめて解説します。

総務とは「会社を磨き、人を輝かせる仕事」

私が総務を始める前は、

「総務は雑務や庶務が多い部署」

というイメージを持っていました。

実際に働いてみると、確かに細かな仕事は多くあります。

備品が足りない。

複合機が動かない。

社員証を用意する。

郵便物を仕分ける。

会社行事を準備する。

一つひとつを見ると、小さな仕事に感じるかもしれません。

しかし、その小さな仕事が止まると、社員の仕事も止まります。

パソコンが使えなければ仕事ができない。

ネットワークが止まれば、会社全体のシステムが使えない。

新入社員の準備ができていなければ、入社初日から仕事を始められない。

災害への備えがなければ、社員の安全にも関わります。

総務は、社員が自分の仕事に集中できる環境をつくる仕事です。

私はそれを、

会社を磨き、人を輝かせる仕事

だと考えています。

総務の具体的な業務については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

総務の仕事内容とは?10年以上働いてわかった「本当の仕事」を現役総務が解説

総務の仕事内容は会社によって大きく違う

総務の特徴の一つが、会社によって担当範囲が大きく違うことです。

大企業であれば、

  • 総務
  • 人事
  • 労務
  • 経理
  • 法務
  • 情報システム
  • 広報

などが、それぞれ独立した部署になっていることがあります。

一方、規模の小さな会社では、総務が複数の領域を兼任することも珍しくありません。

私自身の経験から、総務に関係する仕事を大きく分けると、次の8つです。

1.庶務・社内環境

総務と聞いて、最もイメージしやすい仕事かもしれません。

たとえば、

  • 備品管理
  • 郵便物
  • 社有車
  • 社内設備
  • 複合機
  • 電話
  • 来客対応
  • 大掃除
  • 社内行事

などです。

一つひとつの仕事は小さく見えても、会社を毎日正常に動かすためには欠かせません。

「誰が担当するのか分からない仕事」が総務へ集まることもあります。

そのため、総務は「何でも屋」と言われやすい仕事でもあります。

2.人事・採用

私自身、新卒採用や中途採用にも携わってきました。

採用では、

  • 求人作成
  • 応募者対応
  • 面接
  • 学校との関係づくり
  • 会社見学会
  • 選考
  • 内定式
  • 入社式
  • 新人研修

など、一年間を通してさまざまな仕事があります。

採用は、今足りない人を採用するだけではありません。

5年後、10年後にどのような会社にしたいのかを考えて、人材を採用する仕事でもあります。

3.労務

社員が働くうえでは、勤怠や休暇などの管理も必要になります。

会社によって担当範囲は異なりますが、

  • 勤怠管理
  • 有給休暇
  • 入退社
  • 社内規程
  • 労働時間
  • 健康診断

など、社員の働き方に関わる仕事があります。

労務は、社員の生活に直接影響する分野です。

そのため、「だいたい合っている」ではなく、正確に確認する姿勢が重要になります。

4.経理

会社によっては、総務と経理が同じ部署になっていることもあります。

私も経理業務を経験してきました。

売上。

原価。

経費。

銀行残高。

予算。

こうした数字を理解できるようになると、総務として会社を見る視点が大きく変わります。

私自身、将来的に総務経理部長や経営企画に近い仕事を目指していることもあり、簿記は総務にとって非常に重要な基礎知識だと考えています。

総務に役立つ資格については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

総務に資格は必要?実務・転職で役立つ資格を総務歴10年以上が本音で解説

5.情シス・IT

私の総務キャリアの中で、特に大きく広がった分野がITです。

たとえば、

  • パソコン
  • スマートフォン
  • Microsoft 365
  • メールアカウント
  • ネットワーク・Wi-Fi
  • ファイルサーバー
  • 複合機
  • ライセンス
  • 情報セキュリティ
  • システム導入
  • IT資産管理

などを担当してきました。

私は、もともとパソコンが得意だったわけではありません。

分からないことが起きるたびに、

調べる。

詳しい人に聞く。

実際にやってみる。

失敗したら、また調べる。

この繰り返しで少しずつ対応できるようになりました。

総務と情シスの兼任については、こちらの記事で実体験を詳しく紹介しています。

総務と情シスを兼任するとどうなる?一人情シスの仕事内容・メリット・限界を実体験で解説

6.法務・リスク管理

総務には、会社を守る役割もあります。

契約。

情報セキュリティ。

個人情報。

災害対策。

BCP。

事故対応。

会社によっては、こうした仕事も総務が担当します。

何か問題が起きてから対応するだけではありません。

「もし起きたらどうするか」

を事前に考えておくことも重要です。

私自身、災害時に社員が一定時間社内で待機できるよう、非常食などの準備を進めてきました。

総務は、何も起きていないときに準備する仕事でもあります。

7.広報

会社によっては、総務が広報を兼任します。

私も、

  • ホームページ管理
  • 会社情報の発信
  • 採用広報
  • 社内外への情報発信

などに関わってきました。

会社を外から見たとき、

「どのような会社なのか」

を伝えることも重要です。

特に採用では、会社の情報がほとんど見つからない状態では、応募者も不安になります。

総務は社内だけではなく、会社と社外をつなぐ役割を担うこともあります。

8.経営支援

経験を積むほど、総務の仕事は経営に近づいていきます。

人。

お金。

設備。

IT。

採用。

リスク。

会社全体に関わる仕事を経験すると、特定の部署だけではなく、会社全体を見る必要が出てきます。

私は、

「この会社を1年でも長く存続させる」

ことを仕事の大きな目的として考えています。

そのために、

業務を改善する。

若い社員を採用する。

原価を管理する。

システムを導入する。

リスクへ備える。

総務が直接売上をつくるわけではありません。

しかし、会社が売上や利益を生み続けられる環境を支えることはできます。

総務の一日は予定どおりに進まない

総務には一日のスケジュールがあります。

メールを確認する。

申請書を処理する。

ベンダーと打ち合わせをする。

資料を作る。

銀行残高を確認する。

上席へ報告する。

しかし、実際には予定どおりに進まない日も多くあります。

「パソコンが動かない」

「プリンターが詰まった」

「ネットワークにつながらない」

一本の内線で、別のフロアへ呼ばれることもあります。

社有車の事故が起きれば、代車や保険会社への対応で一日が終わることもあります。

総務の実際の一日の流れについては、こちらの記事で紹介しています。

総務の1日の流れとは?仕事内容・繁忙期・突発対応を総務歴10年以上が解説

総務は暇なのか

「総務は暇そう」

と思われることがあります。

確かに、何もトラブルが起きていない瞬間だけを見れば、忙しそうに見えないこともあるかもしれません。

しかし、総務には予定表には出てこない仕事が多くあります。

社員からの相談。

設備トラブル。

PC対応。

経営陣からの急な依頼。

事故対応。

突発的な仕事が入ることで、予定していた業務が後ろへずれていきます。

総務が本当に暇なのかについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

総務は暇なのか?実際の仕事内容と忙しくなる理由を現役総務が解説

総務の仕事は一年を通して続く

総務には、毎日の仕事だけでなく、年間行事があります。

私の経験では、

  • 1月:年始行事
  • 2月:年度末準備
  • 3月:決算・年度末・新年度準備
  • 4月:入社式・新人研修
  • 5月:新卒選考
  • 6月:会社見学会
  • 8月:夏季休暇対応
  • 10月:内定式
  • 11月:年末準備
  • 12月:大掃除や年末行事

などがあります。

私は、

総務の年間業務は8割が段取り

だと思っています。

年に一度しか行わない仕事も多いため、前年の情報を残しておくことが非常に重要です。

総務の年間スケジュールは、こちらの記事で月別にまとめています。

総務の年間スケジュール|月別の仕事内容・繁忙期・年間行事を実体験で解説

総務に向いているのはどんな人か

総務にはさまざまな仕事があります。

そのため、

「何でも完璧にできる人」

である必要はありません。

私が重要だと思うのは、

  • 困っている人を放っておけない
  • 分からないことを調べられる
  • 状況に応じて判断できる
  • 他部署とコミュニケーションを取れる
  • 会社全体を見ることができる
  • 新しい仕事にも挑戦できる

といった部分です。

特に、総務は正解が一つではない仕事です。

会社の規模。

予算。

社員。

期限。

経営者の考え。

さまざまな条件によって対応が変わります。

その中で、ケースバイケースで冷静に判断する力が必要になります。

総務に向いている人・向いていない人については、以下の記事で詳しく解説しています。

総務に向いている人・向いていない人の特徴|総務歴10年以上が実体験から解説

総務を目指すなら最初に身につけたい5つの力

私が未経験から総務を目指す方へおすすめするのは、次の5つです。

Excel

総務では、数字や社員情報、備品、スケジュールなど、さまざまなデータを扱います。

高度な関数をすべて覚える必要はありません。

まずは、表を作る。

並べ替える。

集計する。

必要な情報を探す。

といった基本操作からで十分です。

簿記

会社を理解するには、数字を理解する必要があります。

売上。

原価。

粗利益。

経費。

利益。

管理職や経営に近い仕事を目指すのであれば、数字を読めることは大きな強みになります。

PCの基礎

これからの総務では、パソコンを避けて仕事をするのは難しいと思います。

Windows。

メール。

ファイル管理。

Microsoft 365。

ネットワーク。

基本的な仕組みを知っているだけでも、仕事の幅は大きく広がります。

コミュニケーション

総務は、人と話す仕事です。

社員。

経営陣。

取引先。

業者。

応募者。

さまざまな立場の人と関わります。

話す力だけでなく、

「相手が何に困っているのか」

を聞く力も重要です。

調べる力と会社を俯瞰する視点

総務をしていると、知らない仕事が次々と出てきます。

すべてを最初から知っている人はいません。

重要なのは、

「分からないからできません」

で終わらず、

「どうすればできるのか」

を調べることです。

さらに、自分の部署だけではなく、会社全体を見ることができれば、仕事の意味も分かるようになります。

総務として成長する人は仕事の可能性を狭めない

総務は、自分次第で成長も停滞もする仕事だと思っています。

「それは自分の仕事ではない」

「前例がない」

「やったことがない」

という理由だけで仕事を避け続ければ、経験できる範囲は広がりません。

もちろん、すべての仕事を一人で抱える必要はありません。

しかし、

「これは自分にもできるかもしれない」

「まず調べてみよう」

という姿勢は大切です。

前例がない仕事には、会社の未来を変える力がある場合があります。

私自身も、採用、IT、広報、システム導入など、最初からすべて経験があったわけではありません。

必要になった仕事に挑戦した結果、少しずつキャリアが広がっていきました。

総務の業務改善は現場から始める

総務には、会社の非効率な仕事を見つけられる立場でもあります。

私は実際に、

  • Excel管理のシステム化
  • 原価管理システム
  • kintone
  • タスク管理
  • 社内書式の統一

などの業務改善に関わってきました。

ただし、システムを作れば業務改善になるわけではありません。

実際に、営業案件を管理するシステムを作ったものの、社員に使ってもらえず、運用が止まった経験もあります。

そこから学んだのは、

業務改善は現場のニーズを聞くことから始める

ということです。

総務の業務改善については、成功例と失敗例をこちらの記事で詳しく紹介しています。

総務の業務改善は何から始める?成功・失敗事例と進め方を実体験で解説

総務のキャリアは人生の選択肢を増やす

私自身のキャリアは、

1社目:接客・店舗管理

2社目:経理・総務補助・IT補助

3社目:総務・IT・経理・広報・採用

4社目:システム開発・情シス

と広がってきました。

最初から総務を目指していたわけではありません。

尊敬する総務経理部長との出会いから、

「自分もこうなりたい」

と思うようになりました。

総務は業務範囲が広いため、

人事。

経理。

IT。

法務。

広報。

業務改善。

経営支援。

さまざまな分野へキャリアを広げられます。

私は、まず浅く広く経験し、その後に自分の得意分野を深めていく方法をおすすめしています。

総務のキャリアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

総務のキャリアパスは?総務歴10年以上・4社経験者が将来性と成長方法を解説

AI時代でも総務の役割はなくならないと思う

AIやRPAによって、総務の仕事も変わっていくと思います。

データ入力。

集計。

分析。

定型的なチェック。

繰り返し作業。

こうした仕事は、今後さらに自動化できるようになるでしょう。

だからこそ、人間が行う仕事は、

「作業すること」

から、

「判断すること」

へ変わっていくと思っています。

何を自動化するのか。

どの数字を見るのか。

社員へどう説明するのか。

例外が起きたとき、どう判断するのか。

最終的に会社として何を選ぶのか。

こうした部分には、人間の判断が必要です。

これからはAIを使えるだけでなく、AIや自動化された仕組みを管理し、必要に応じて修正できる人材も重要になると考えています。

総務のやりがいは人の役に立てること

私は総務が好きです。

その一番の理由は、人の役に立てるからです。

パソコンを直したとき。

困っている社員の相談に乗ったとき。

システムを改善したとき。

新しい社員を迎えたとき。

社員から、

「ありがとう」

「助かった」

と言われることがあります。

売上として数字に表れない仕事でも、誰かが仕事を続けられる状態をつくることができます。

総務のやりがいと大変さについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

総務の仕事のやりがいと大変なこと|10年以上続けてわかった本音を解説

総務は会社の「最後の砦」

総務は、会社の最後の砦だと思っています。

「誰かがやるだろう」

と思っていても、誰も担当しない仕事があります。

そのような仕事が最後にたどり着く場所が、総務であることも少なくありません。

だからといって、最初からすべての仕事ができる必要はありません。

私も最初から、

採用。

IT。

システム開発。

ネットワーク。

広報。

業務改善。

すべてができたわけではありません。

分からないことを調べる。

計画を立てる。

できることから始める。

詳しい人へ相談する。

失敗したら修正する。

そうやって、少しずつ仕事の幅を広げてきました。

総務という仕事を経験すると、自分の担当業務だけでなく、会社全体を見る機会が増えていきます。

人。

お金。

設備。

IT。

採用。

リスク。

経営者が何を考えているのか。

社員が何に困っているのか。

それらを高い視点から見ながら、経営者の方針のもと、会社全体がうまく動くよう支える。

それが、総務という仕事の一つの到達点だと思っています。

まとめ

総務は、単なる雑務や庶務を担当する部署ではありません。

庶務。

人事・採用。

労務。

経理。

情シス・IT。

法務・リスク管理。

広報。

経営支援。

会社によって範囲は違いますが、さまざまな仕事を経験できる職種です。

私は、総務を舞台監督のような存在だと思っています。

会社という舞台を磨き、社員が目の前の仕事に集中できる環境をつくる。

問題が起きれば対応する。

問題が起きる前に準備する。

会社の未来に必要な仕組みを考える。

総務は、会社の最後の砦です。

誰かが取り組まなければ、そのまま残ってしまう仕事もあります。

最初からすべてできる必要はありません。

計画やスケジュールを立て、自分のできる範囲から一つずつ取り組めばいいと思います。

そして、可能性を自分から狭めないこと。

前例がないからこそ、挑戦する。

分からないからこそ、調べる。

その経験が少しずつ積み重なり、総務としての仕事の幅を広げてくれます。

総務という仕事を経験することで、会社をより高い視点から見る力が身につきます。

会社を磨き、人を輝かせる。

その舞台を裏側から支えることが、総務という仕事なのだと思います。