総務は楽な仕事?総務歴10年以上の私が「営業より楽」と思う理由
「総務って楽そうでいいよね」
総務として働いていると、そんなふうに思われることがあります。
基本的にはオフィスの中で仕事をしている。
営業のように売上ノルマもない。
お客様からクレームを受けることも少ない。
外回りもほとんどない。
確かに、そういう部分だけを見れば「楽そうな仕事」に見えるかもしれません。
では、実際に総務は楽なのでしょうか。
私はこれまで3社で総務を経験し、採用や情シスなども含めてバックオフィスの仕事を10年以上経験してきました。
あくまで私個人の感覚ですが、最初に結論を言ってしまうと、
営業と比較すれば、総務は「楽」だと思っています。
ただし、
「楽=簡単な仕事」ではありません。
総務は肉体的な負担よりも、頭を使う場面が非常に多い仕事だからです。
今回は、総務として10年以上働いてきた経験から、「総務は本当に楽なのか?」についてリアルな部分を書いてみたいと思います。
結論、私は営業より総務の方が「楽」だと思う
これは職種や会社によって大きく違うので、あくまで私個人の主観です。
それでも、営業職と比較するなら、私は総務の方が働きやすいと感じています。
理由の一つは、
売上ノルマが基本的にないことです。
営業であれば、
「今月あといくら売らなければならない」
「目標まであと何件契約が必要」
と数字を追うことがあります。
総務には基本的に、そのような売上目標はありません。
また、社外のお客様を直接担当する機会も営業ほど多くないため、お客様からクレームを受けることも比較的少ないです。
そして、基本的にはオフィスワークです。
夏の暑い日に外を歩き回ることも、それほどありません。
だから、
「営業と総務、どちらが楽ですか?」
と私が聞かれたら、
「私は総務の方が楽だと思います」
と答えます。
ただし、ここからが大事です。
「総務は涼しい部屋にいられていいよな」
夏になると、ときどき言われることがあります。
「総務は涼しい部屋にいられていいよな」
これについては、
半分正解ですし、半分異議ありです(笑)
確かに涼しいです。
外回りをする営業職や、暑い現場で働いている方と比べれば、身体的には恵まれた環境で仕事をしていると思います。
ただ、私はこう思っています。
総務は体から汗をかくことは少ないですが、脳みその汗をかいています。
総務は「考える仕事」が非常に多いからです。
総務は「頭脳労働」の側面が強い
たとえば、会社の規則を一つ作るとします。
単純に文章を書けば終わりではありません。
法律上問題がないか。
すでに存在している就業規則や社内規程と矛盾しないか。
実際に社員が運用できるルールなのか。
例外が発生した場合はどうするのか。
さまざまな角度から確認します。
一つの文章でも、
「この書き方をしたら、こう解釈される可能性があるな」
と考えることがあります。
総務の仕事には、表からは見えない「考える時間」がかなりあります。
社内システムも「簡単そうに見える」までが大変
私はこれまで、原価管理システムやkintoneなどの導入にも関わってきました。
システムを作るときに意識していることがあります。
それは、
社員ができるだけ直感的に使えること。
いわゆるUI、ユーザーインターフェースです。
理想は、詳しいマニュアルを読まなくても、
「たぶんここを押せばいいんだな」
と分かることです。
しかし、利用する社員から見て「簡単なシステム」を作るためには、裏側でかなり細かく設計する必要があります。
たとえば社員コード一つでもそうです。
適当に、
0001
0002
0003
と振ればいいとは限りません。
後からデータを集計するときはどうするのか。
人事異動があったらどうなるのか。
組織変更があっても正しく集計できるのか。
将来的に社員が増えても使えるのか。
いろいろ考えて設計します。
表面上は、
「ボタンを押すだけ」
のシステムかもしれません。
でも、そのボタン一つを簡単にするために、裏側ではかなりの仕組みや工夫が施されています。
そして、どれだけ立派なシステムを作っても、
社員に使ってもらえなければ意味がありません。
これも総務や情シスの難しいところです。
総務の具体的な業務については、「総務の仕事内容とは?10年以上働いてわかった『本当の仕事』」でも詳しく紹介しています。
総務は「間違えられない仕事」が意外と多い
総務が楽そうに見えるもう一つの理由は、
成果や仕事の難しさが外から見えにくいこと
だと思います。
たとえば勤怠管理。
社員から見れば、
「出勤時間と退勤時間を集計する仕事」
に見えるかもしれません。
でも実際には、それほど単純ではありません。
時間外労働とは何なのか。
休日労働をどう扱うのか。
法定休日と法定外休日の違い。
振替休日と代休の違い。
似たような言葉でも、意味や扱いが異なります。
そして勤怠データは、
社員の給与に直接影響します。
間違えてはいけません。
もちろん誤りがあれば訂正や精算が必要になりますが、「来月直せばいいから適当でいい」という仕事ではありません。
社員や協力会社から問い合わせを受けたときにも、
「たぶんこうだと思います」
ではなく、根拠を確認したうえで回答する必要があります。
そのためには、日頃から法律や制度、社内ルールについて情報を集めておく必要があります。
だから私は、
総務は「楽そうで、楽ではない仕事」
だと思っています。
総務で実際に大変だった仕事
総務を10年以上経験していると、さまざまな仕事があります。
その中から、特に印象に残っているものをいくつか紹介します。
150人を対象にした個人情報・コンプライアンス研修
社員約150人を対象に、個人情報とコンプライアンスに関する研修を実施したことがあります。
資料を作る。
会場を準備する。
現地参加とオンライン参加の両方に対応する。
参加者を管理する。
研修後のアンケートを回収する。
150人規模になると、
「当日考えればいい」
では対応できません。
オンラインに接続できなかったら?
音声が聞こえなかったら?
参加できない社員がいたら?
アンケートを提出しない人がいたら?
起こりそうなトラブルを事前に考えます。
私がこうした仕事で意識しているのは、
想定できるトラブルはできるだけ事前に予測して、「想定内」で終わらせること。
何もトラブルが起きなければ、
「普通に研修が終わった」
だけに見えます。
でも、その「普通」を作るために準備するのが総務の仕事でもあります。
年末調整は毎年大変
年末調整の時期も大変です。
期限までに必要な書類を集めなければなりません。
そのため、かなり余裕を持って社員に案内します。
それでも、
出張している。
休んでいる。
書類を忘れた。
まだ提出していない。
毎年、何かしらあります。
そのため、
「○日までにお願いします」
「締切が近づいています」
「まだの方は提出してください」
と何度もリマインドします。
そして社員の年末調整ばかり気にしていると、
自分自身の年末調整を忘れそうになります。
これ、総務あるあるだと思っています(笑)
健康診断も人数が増えるほど大変になる
健康診断も同じです。
社員数が少なければ管理できます。
でも人数が増えると、
誰が受診したのか。
誰がまだ受診していないのか。
期限はいつなのか。
結果は届いているのか。
必要な対応はされているのか。
管理する情報が一気に増えます。
総務にはこうした、
一つひとつは小さく見えても、人数が増えると一気に難しくなる仕事
がたくさんあります。
それでも総務は「働きやすい仕事」だと思う
ここまで読むと、
「やっぱり総務って大変なのでは?」
と思うかもしれません。
もちろん大変なことはあります。
それでも私は、総務は比較的働きやすい仕事だと思っています。
理由は、
自分でスケジュールをコントロールしやすい仕事が多いからです。
もちろん突発対応もあります。
PCが突然壊れる。
設備に不具合が起きる。
社員から急な問い合わせが来る。
そういったこともあります。
ただ、年間で発生する業務の中には、
健康診断。
年末調整。
契約更新。
法定の届出。
社内行事。
など、ある程度時期が分かっている仕事も多くあります。
そのため、
期限から逆算して早めに動く
ことができます。
私はできるだけ期日に余裕を持つようにしています。
余裕があれば、
確認する時間が取れる。
ミスを見つけられる。
漏れにも気づける。
急な仕事が入っても対応できる。
結果的に仕事が安定します。
この「自分で仕事を組み立てやすい」という部分は、総務の働きやすさだと思います。
「総務は楽そうだから転職したい」はおすすめしない
もし、
「総務って楽そうなので転職したいです」
と言われたら、私はこう伝えます。
確かに働きやすい部分はあります。でも、仕事の相性はかなりあります。
総務は基本的にデスクワークです。
一日中座っていることも珍しくありません。
モニターを見る。
資料を読む。
法律を調べる。
Excelを触る。
システムを設定する。
文章を書く。
数字を確認する。
またモニターを見る。
そんな一日もあります。
「ずっと座っているのが苦痛」
「同じ場所にいるとすぐ飽きる」
「外に出て人と会っていたい」
という人には、あまり向いていないかもしれません。
逆に、
調べることが苦にならない。
細かいところが気になる。
仕組みを考えるのが好き。
自分でスケジュールを組み立てたい。
誰かを裏側から支えることが好き。
そんな人にとっては、総務はとても働きやすい仕事になる可能性があります。
総務に向いている人の特徴については、「総務に向いている人・向いていない人」で、私自身の経験をもとに詳しく紹介しています。
総務は「楽」だけど「簡単」ではない
「総務は楽ですか?」
私の答えは、
営業と比較すれば、私は楽だと思います。
売上ノルマは基本的にありません。
お客様から直接クレームを受ける機会も少ない。
オフィスで働くことが多い。
自分でスケジュールを組み立てやすい。
そういう意味では、総務は比較的働きやすい仕事だと思います。
でも、
楽であることと、簡単であることは別です。
法律を確認する。
規則を作る。
勤怠を正しく管理する。
社員が使いやすいシステムを作る。
150人が問題なく研修を受けられるよう準備する。
期限までに全員から書類を集める。
何か起きる前に問題を予測する。
表から見えないところで、ずっと考えています。
だから、
「総務は涼しい部屋にいられていいよな」
と言われたら、
私は笑いながらこう思います。
確かに涼しいです。
でも、
今日も脳みそには、けっこう汗をかいています。
そんな仕事が、総務です。



