「総務の仕事には、どのようなやりがいがあるのだろう」

「売上を直接つくる部署ではないのに、何を目標に働けばよいのだろう」

これから総務を目指す方や、現在総務として働いている方の中には、このように感じている方もいると思います。

私が総務の仕事を10年以上続けてきた一番の理由は、総務が好きだからです。

自分の知識や経験を使って、人の役に立てる。

困っている社員の問題を解決できる。

自分の考え方や行動によって、仕事の質と結果を変えられる。

ここに、総務の面白さがあります。

一方で、総務の成果は数字で見えにくく、何でも相談されやすい仕事です。

社員と経営陣の間に立つこともあります。

システム導入やルール変更を進めれば、反対意見や嫌味を受けることもあります。

総務の具体的な仕事内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。

総務の仕事内容とは?10年以上働いてわかった「本当の仕事」を現役総務が解説

今回は、総務歴10年以上の私が、実際に感じてきた総務のやりがいと大変さについて、成功した話だけでなく、心が折れそうになった経験も含めて解説します。

私が総務を10年以上続けてきた理由

私が総務を続けてきた理由は、単純です。

総務の仕事が好きだからです。

総務は、決められた作業だけを繰り返す仕事ではありません。

同じ問題が起きても、会社の状況や社員の事情によって対応方法は変わります。

パソコンが動かない。

設備が故障した。

社員が困っている。

新しい制度を導入する。

社内の仕事を効率化する。

その都度、何が原因なのかを考え、必要な情報を調べ、周囲と相談しながら対応します。

正解が一つではないからこそ、自分の考え方や行動によって、仕事の結果が変わります。

言われたことだけを行うのではなく、

「本当の問題は何か」

「社員は何に困っているのか」

「会社にとってどの方法がよいのか」

を考えられるところに、総務の面白さがあります。

総務のやりがいは人の役に立てること

私が最もやりがいを感じるのは、自分の知識や経験によって、困っている社員を助けられたときです。

特に、パソコンやネットワークに関するトラブルを解決できたときは、大きな達成感があります。

私のこれまでの職場経験では、パソコンやネットワークに詳しい人は、50人に1〜2人程度という感覚です。

これは統計ではなく、あくまで私自身の経験による印象です。

多くの社員にとって、パソコンやネットワークは、仕事に必要な道具ではあっても、仕組みまで詳しく知っているものではありません。

「急に動かなくなった」

「画面が固まった」

「インターネットにつながらない」

「なぜか印刷できない」

このようなトラブルが起きると、仕事が止まってしまいます。

私は、最初からパソコンに詳しかったわけではありません。

不具合が起きるたびに、原因を考える。

インターネットで調べる。

業者や詳しい人に聞く。

実際にやってみる。

直らなければ、別の方法を試す。

この繰り返しで、少しずつ対応できる範囲を増やしてきました。

総務と情シスを兼任してきた仕事内容については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

総務と情シスを兼任するとどうなる?一人情シスの仕事内容・メリット・限界を実体験で解説

動かなくなったパソコンを復旧した経験

特に印象に残っているのが、社員のパソコンが突然起動しなくなったときのことです。

その社員は、仕事が非常に忙しい時期でした。

パソコンの中には、作業に必要なデータや環境が入っていました。

社員からは、

「今は忙しい時期だから、何とかパソコンを復活させてほしい」

と頼まれました。

そこで、デスクトップパソコンのカバーを開け、内部にたまっていたほこりをブロアーで取り除きました。

さらに、原因を確認しながらSSDを取り外し、別のパソコンで利用できるようにして、作業の復旧につなげました。

結果として、社員は仕事を再開できました。

そのときに言われた、

「よかった。ありがとう」

という言葉は、今でも覚えています。

最初から簡単に解決方法が分かったわけではありません。

これまで何度も分からないことを調べ、失敗しながらパソコンについて学んできた経験が、社員を助けることにつながりました。

あきらめずに調べ続けてきてよかったと思えた出来事です。

総務は社員が仕事に集中できる環境をつくる

総務が直接、商品を販売するわけではありません。

営業のように、売上目標を持つ部署でもありません。

しかし、社員が目の前の仕事に集中できる環境を整えることはできます。

パソコンが正常に動く。

ネットワークへ接続できる。

必要な備品が用意されている。

安全に働ける。

災害時の備えがある。

社内ルールや手続きが分かりやすい。

こうした環境が整っていなければ、社員は本来の仕事に集中できません。

総務は、自分がステージの主役になる仕事ではないかもしれません。

しかし、社員が安心して目の前の仕事へ集中できるように、ステージそのものを整える仕事です。

その環境づくりに関われることが、総務を続ける大きな価値だと感じています。

BCPは何も起きていないときに準備する

総務の仕事には、問題が起きたときに対応する仕事だけでなく、問題が起きる前に準備する仕事もあります。

その一つがBCPです。

BCPとは、地震や台風、感染症、システム障害などが発生した場合でも、会社の事業を継続したり、早期に復旧したりするための計画です。

災害が起きてから、

「何を用意すればよいだろう」

「社員をどこへ避難させよう」

「食料や水は足りるだろうか」

と考えても、間に合わない可能性があります。

そのため、何も起きていない平常時に準備を進める必要があります。

私が勤務してきた会社では、大きな災害が発生した場合に備え、社員が約48時間社内に待機できるよう、非常食などを準備しました。

幸い、これまで大きな震災によって実際に使用することはありませんでした。

BCPの仕事は、何も起きなければ成果が見えにくい仕事です。

しかし、何も起きていないから準備しなくてよいわけではありません。

災害や事故が起きたときに、社員の安全を守れるか。

会社の仕事を再開できるか。

そのために事前に考え、準備することも、総務の重要な役割です。

会社全体の成果につながったシステム導入

社員一人の問題を解決するだけでなく、会社全体の仕事へ影響を与えられることも、総務のやりがいです。

私が特に大きな成果を感じたのは、原価管理システムの導入です。

以前は、30億円を超える売上と原価をExcelで集計していました。

特定の社員へ作業が集中し、残業や属人化が問題になっていました。

そこで、集計基準を整理し、作業を分担できるようにしたうえで、売上と原価をシステムから出力できる仕組みを構築しました。

これにより、原価や利益の状況を以前より早く確認できるようになりました。

システム導入後、会社では粗利が前年比130%となる状態を3年連続で達成しました。

もちろん、粗利の改善には、営業活動、価格設定、仕入れ、原価削減など、さまざまな要因が関係します。

原価管理システムだけで達成した成果と断定することはできません。

ただし、正しい原価を早い段階で確認できる仕組みを整えたことは、会社の判断や利益管理に貢献できたと考えています。

この業務改善については、以下の記事で詳しく解説しています。

総務の業務改善は何から始める?成功・失敗事例と進め方を実体験で解説

新卒採用で会社の将来をつくる

新卒採用も、会社全体へ貢献できたと感じる仕事の一つです。

採用は、求人を出して人を集めるだけの仕事ではありません。

どのような会社にしたいのか。

将来、どのような人材が必要になるのか。

若い社員へ仕事を引き継げる体制になっているか。

こうした会社の将来を考えながら進めます。

新卒社員を採用しても、すぐに会社の利益が増えるとは限りません。

教育には時間も費用もかかります。

成果が見えるまでに、数年かかることもあります。

それでも、若い社員を採用し、育成し、仕事を引き継いでいかなければ、会社を長く存続させることは難しくなります。

総務や採用の仕事は、今日の成果だけを見る仕事ではありません。

5年後、10年後の会社をつくる仕事でもあります。

総務の大変さは成果が見えにくいこと

総務の仕事で大変だと感じることの一つは、成果が見えにくいことです。

営業であれば、売上や受注件数など、結果を数字で示しやすい仕事です。

一方、総務は請求書を発行して売上をつくる部署ではありません。

パソコンのトラブルを防いだ。

災害に備えた。

社員が仕事をしやすいように制度を整えた。

業務を効率化した。

若い社員を採用した。

これらは会社にとって重要な仕事ですが、成果がすぐに売上として表れるとは限りません。

BCPのように、何も起きなかった場合は、

「準備が役に立った」

と評価される機会自体がないこともあります。

採用や人材育成も、結果が出るまでに何年もかかります。

総務の成果を正しく評価してもらうためには、作業内容だけでなく、会社にどのような影響があったのかを説明する必要があります。

  • 残業時間をどの程度減らしたか
  • 作業時間をどの程度短縮したか
  • 問い合わせやミスをどの程度減らしたか
  • どのようなリスクを防いだか
  • 将来どのような効果が期待できるか

このような形で、見えにくい成果を見えるようにすることも重要です。

何でも総務へ持ち込まれる

総務は業務範囲が広いため、担当部署が分からない相談が集まりやすい部署です。

パソコンが動かない。

設備が故障した。

備品が足りない。

社有車で事故が起きた。

社員同士で問題が起きた。

契約書を確認してほしい。

イベントを準備してほしい。

「どこへ相談すればよいか分からないから、とりあえず総務へ」

ということも少なくありません。

すべての問題を総務だけで解決することはできません。

それでも、最初の相談窓口になることは多くあります。

相談内容を確認し、自分で対応するのか、担当部署へつなぐのか、上席へ報告するのかを判断します。

総務の一日が予定どおりに進まない理由については、以下の記事でも紹介しています。

総務の1日の流れとは?仕事内容・繁忙期・突発対応を総務歴10年以上が解説

社員と経営陣の板挟みになる

総務は、社員と経営陣の両方と関わります。

社員からは、

「もっと働きやすくしてほしい」

「このルールを変えてほしい」

「新しいシステムは使いにくい」

という意見が出ます。

一方、経営陣からは、

「費用を抑えてほしい」

「ルールを守らせてほしい」

「仕事を効率化してほしい」

という要望があります。

社員の希望をすべて実現すれば、費用や管理負担が増えることがあります。

経営側の判断だけを優先すれば、現場の不満が大きくなる可能性があります。

どちらか一方の意見だけを聞くのではなく、会社全体にとって適切な方法を考えなければなりません。

この調整は、総務の重要な仕事であると同時に、大きな負担にもなります。

休日や勤務時間外にも連絡が来る

パソコン、ネットワーク、設備、社有車などを担当していると、勤務時間外に連絡が来ることもあります。

ネットワークにつながらない。

システムへログインできない。

社有車で事故が起きた。

施設や設備に異常がある。

問題の内容によっては、翌営業日まで待てない場合があります。

総務が幅広い仕事を担当するほど、

「何かあれば総務へ連絡する」

という状態になりやすくなります。

一人に責任が集中すると、休みの日でも落ち着かなくなります。

そのため、緊急連絡の基準を決める。

対応手順を共有する。

複数の担当者で対応できるようにする。

外部業者の連絡先を整理する。

こうした仕組みが必要です。

システム導入には必ず反対意見が出る

総務として特に大変だったのが、新しいシステムを導入したときです。

業務を効率化するためのシステムであっても、必ず賛成してもらえるわけではありません。

「パソコンが苦手なのに、これ以上パソコン作業を増やさないでほしい」

「新しい操作を覚えたくない」

「今までの方法で困っていない」

「入力すると、自分の成果が悪いことが分かってしまう」

さまざまな反対意見が出ます。

新しい仕組みを作る側は、会社のために必要だと考えています。

しかし、現場の社員から見れば、今まで慣れていた方法が変わり、仕事が増えるように感じることがあります。

導入目的やメリットを説明しても、すぐに理解してもらえるとは限りません。

すれ違いざまの嫌味で心が折れそうになった

システム導入を進めていたとき、すれ違いざまに嫌味を言ってくる社員がいました。

会社の仕事を良くするために取り組んでいる。

業務の負担を減らすために仕組みを作っている。

そのつもりでも、全員から歓迎されるわけではありません。

反対意見そのものは必要です。

実際に使う社員からの意見によって、システムの問題点に気付けることもあります。

ただし、建設的な意見ではなく、個人に向けて嫌味を言われると、気持ちが折れそうになります。

「ここまでして進める必要があるのだろうか」

「何もしない方が楽だったのではないか」

と思うこともありました。

総務の業務改善は、仕組みを作るだけの仕事ではありません。

変化を嫌う人と向き合い、説明し、協力してもらう仕事でもあります。

総務は自分次第で成長も停滞もする

総務の大変さは、自分次第で成長も停滞もするところです。

同じ会社で、同じ総務として働いていても、どのように仕事へ向き合うかによって、数年後の経験には大きな差が出ます。

決められた作業だけを繰り返す。

分からない仕事は避ける。

問題が起きても、業者や他部署へ任せる。

このような働き方を続ければ、担当できる仕事は広がりにくいかもしれません。

一方で、

「なぜこの作業が必要なのか」

「もっとよい方法はないか」

「自分で解決できることはないか」

と考え、調べ、実行すれば、経験を増やせます。

総務は、会社によって業務範囲が大きく異なります。

採用、経理、広報、IT、情シス、法務、業務改善、経営支援などへ仕事を広げることもできます。

しかし、誰かが自動的に成長させてくれるわけではありません。

自分で課題を見つけ、学び、行動する必要があります。

総務のキャリアパスや成長方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

総務のキャリアパスは?総務歴10年以上・4社経験者が将来性と成長方法を解説

総務に向いているのは困っている人を放っておけない人

総務の仕事は、評価や成果だけを求めると、つらく感じることがあります。

対応して当然と思われる。

問題を解決しても目立たない。

何も起きなければ、仕事をしていないように見える。

そのような場面もあります。

それでも、

「困っている人を助けたい」

「社員が仕事をしやすい環境を作りたい」

「会社を少しでも良くしたい」

と思える人には、やりがいのある仕事です。

社員から言われる、

「ありがとう」

「助かった」

「これで仕事を続けられる」

という言葉が、次の仕事への力になります。

総務に向いている人の特徴については、以下の記事でも紹介しています。

総務に向いている人・向いていない人の特徴を総務歴10年以上が実体験から解説

まとめ

総務のやりがいは、人の役に立てることです。

パソコンのトラブルを解決する。

社員が安心して働けるように災害へ備える。

新しい社員を採用する。

システムを導入し、会社の仕事を効率化する。

自分の知識や経験が、社員や会社を支えることにつながります。

一方で、総務の大変さは、自分次第で成長も停滞もしてしまうことです。

成果が数字で見えにくく、何でも相談されます。

社員と経営陣の板挟みになり、新しい仕組みに反対されることもあります。

それでも総務を続ける価値は、社員が目の前の仕事に集中できる環境、いわばステージをつくれるところにあると思います。

総務自身が主役になる必要はありません。

パソコンが使える。

設備が整っている。

安全に働ける。

必要な情報が届く。

問題が起きたときに相談できる。

こうした環境を整えることで、社員は自分の仕事に集中できます。

人の役に立ちたい。

会社を裏側から支えたい。

自分で考え、経験を積みながら成長したい。

そのような方にとって、総務は長く続ける価値のある仕事だと思います。