総務の志望動機はどう書く?実務経験から向いている人・伝え方を解説
総務を志望するとき、”人を支える仕事がしたい”だけでは、少し抽象的に見えることがあります。
もちろん、人を支えたいという気持ち自体は大切です。ただ、実際の総務は、備品管理や社内対応だけではありません。複数の部署や社員、経営陣の間に入りながら、会社全体を見て仕事を進める場面があります。
私自身、総務の仕事を続ける中で、総務に向いている人にはいくつか共通する考え方があると感じています。
この記事では、総務の実務経験をもとに、志望動機を考えるときに使える視点と、自分の経験をどう言葉にすればよいかを整理します。
- 総務の志望動機は「総務の仕事をどう捉えているか」が大切
- 私が考える「総務に向いている人」の3つの特徴
- 私が総務を志したきっかけ|総務経理部長を目指したかった
- 3つの特徴を志望動機にどうつなげるか
- 総務のやりがいは、会社全体をより良くしていくことにある
- 総務は保守的な仕事だけではない|攻めの総務になる場面もある
- 私なら「攻めと守りができる総務になりたい」と伝える
- 『縁の下の力持ちになりたい』だけでは弱い理由
- 会社が求めている総務像は、求人票だけでは分からないこともある
- 新卒と中途では、志望動機の作り方を変える
- システムや業務改善を強みにするなら「まず現状を理解する」と伝える
- 私なら志望動機を6つの順番で組み立てる
- 履歴書は枠の8割を目安にし、志望理由4:自分6で書く
- 強みには必ず数字を入れる
- 「御社でどう生かすか」は、入社後の動きまで具体的にする
- 志望動機は「総務だから言える内容」にする
総務の志望動機は「総務の仕事をどう捉えているか」が大切
総務は、目の前の依頼をただ処理するだけの仕事ではありません。
一つの依頼でも、その背景に何があるのか、誰に影響するのか、どこまで対応すれば仕事が完了するのかを考える必要があります。
そのため志望動機でも、”総務に興味があります”で終わらせるのではなく、自分が総務という仕事をどう理解しているかを、自分の経験と結び付けて伝えることが重要だと思います。
私が考える「総務に向いている人」の3つの特徴
1.物事を俯瞰して見られる人
総務では、一人の社員だけではなく、部署や会社全体への影響を考える場面があります。
目の前の問題だけを見るのではなく、”この対応をすると他部署にはどんな影響があるか”まで考えられる人は、総務の仕事と相性がいいと感じます。
2.仕事の本質を見抜ける人
依頼された内容をそのまま処理するだけではなく、”そもそも何のために必要なのか”を考えることも大切です。
表面的な作業ではなく、目的や課題の本質を見ようとする人は、業務改善や社内調整でも強みを発揮しやすいと思います。
3.段取りからクローズまでイメージできる人
総務の仕事は、着手したら終わりではありません。
誰に確認するのか、何を準備するのか、いつまでに進めるのか、最後に何を確認すれば完了なのか。仕事の入口から出口までを考える必要があります。
仕事の段取りと、最後にどうクローズするかまでイメージできる人は、総務の実務で大きな強みになります。
私が総務を志したきっかけ|総務経理部長を目指したかった
私が最初から総務を志望していたわけではありません。
もともとは経理課に所属していました。そこで出会った当時の総務経理部長が、私にとって大きな人生のターニングポイントになりました。
その方は、まさにバックオフィス全体の責任者でした。総務、経理、採用、財務まで幅広い知見があり、どんな相談をしてもすぐに答えが返ってくる。会社の中で起きるさまざまなことを、部門をまたいで理解している方でした。
私はすでに経理の経験がありました。そのとき、自分に足りないのは総務の力だと感じました。
総務の力を身につければ、将来的に総務経理部長のように、会社全体を支えられるバックオフィス責任者になれるのではないか。そう考えたことが、総務の仕事に就いた大きな理由です。
志望動機は、必ずしも「昔から総務になりたかった」である必要はないと思います。
自分がこれまで身につけてきた力と、これから身につけたい力。その先にどんな仕事をしたいのかまでつながっていれば、十分に自分らしい志望理由になります。
3つの特徴を志望動機にどうつなげるか
大切なのは、”私は俯瞰して見られます”と特徴だけを書くことではありません。
過去の仕事や学生時代の経験の中から、実際にその力を使った場面を探します。
- 複数の人の意見を整理して仕事を進めた
- 言われた作業だけでなく目的を考えて改善した
- 期限から逆算して段取りを組み、最後まで完了させた
こうした経験があるなら、総務への適性を示す材料になります。
未経験から総務を目指す場合も、総務経験そのものがなくても、過去の仕事の中に似た経験がないかを探すことが重要です。
経理経験は総務でも大きな武器になる
私の場合、もともと経理の経験があったことは、総務へ移ったあとも大きな強みになりました。
原価計算、予算管理システム、経費精算の効率化は、多くの会社が取り組んでいる、または取り組みたいテーマです。
こうした仕組みを総務側で改善・導入するとき、お金の流れや仕訳処理を理解していると、単に今の作業を楽にするだけではなく、その先のフェーズまで考えて設計できます。
たとえば経費精算システムを導入する場合でも、申請を電子化して終わりではありません。どのデータを残せば、将来的に予算管理や部門別集計、経営レポートへつなげられるのか。会計処理まで理解していると、そこまで想像しながら仕組みを作ることができます。
また、総務部と経理部は同じ管理部門として、同じ部屋で働いたり、近い感覚で業務を進めたりする会社も少なくありません。
経理経験があると、仕訳や予算、コストの話を共通言語として使えるため、情報交換や相談のスピードも上がります。
つまり、異職種から総務へ転職する場合でも、これまでの経験を捨てる必要はありません。自分の専門性を、総務でどう横展開できるかを考えることが、志望動機を作るうえでも重要です。
未経験から総務を目指す考え方は、未経験から総務に転職できる?でも詳しく整理しています。
総務のやりがいは、会社全体をより良くしていくことにある
私が総務の仕事にやりがいや面白さを感じるのは、目の前の依頼を処理したときだけではありません。
会社の構造を理解し、そのうえで仕組みや契約、採用、IT基盤まで見直して、会社全体をより良くできたときに強くやりがいを感じます。
- 会社の構造を理解したうえで、経営陣へシステムを提案し、導入が決定したとき
- 過去の契約内容を再確認し、現在の状況に合わなくなっていることに気付き、見直しにつなげたとき
- 他社や競合の情報を集め、自社でも同等のサービスや改善ができないか検討しているとき
- 会社の寿命を延ばすために新卒採用を開始し、実際に内定・入社までつなげられたとき
- ネットワークを理解したうえで、ベンダーの技術チームと会社の合理性を踏まえた構築を完成させたとき
こうした仕事に共通しているのは、単に「頼まれたことを処理する」のではなく、会社にとって今何が必要かを考え、関係者と調整しながら形にしていくことです。
志望動機を考えるときも、「人を支えたい」だけではなく、会社全体を理解し、より良い仕組みを作る仕事に関わりたいという視点が、自分の経験と結び付いているなら説得力が出やすいと思います。
総務は保守的な仕事だけではない|攻めの総務になる場面もある
総務というと、言われたことを正確に処理する保守的な部隊というイメージを持たれることがあります。
もちろん、規程や契約、労務、備品、社内手続きなど、決められたルールを守りながら進める仕事は多くあります。
ただし、実際にはそれだけではありません。総務が全社に影響する業務改善やシステム導入を主導することもあります。
新しい仕組みを導入するときには、現場の課題を整理し、経営陣へ提案し、必要に応じて全社員の前で説明やプレゼンをすることもあります。
私は、こうした場面では総務は「守り」ではなく、会社を前へ進める攻めの部門になると感じています。
総務を志望するのであれば、「人を支えたい」という気持ちだけでなく、会社全体を見て課題を見つけ、よりよい仕組みを考えたいという視点も、総務らしい志望理由につながります。
私なら「攻めと守りができる総務になりたい」と伝える
もし今、私が未経験から総務へ転職するとしたら、志望動機では次のような方向性を伝えると思います。
会社を俯瞰して物事を考え、経営陣と社員の懸け橋となり、攻めと守りの両方ができる総務になりたい。
総務は、ルールや契約、労務、設備、IT環境などを守る役割がある一方で、業務改善やシステム導入、採用などを通じて会社を前に進める役割もあります。
そのためには、経営陣の考えだけを見るのでも、社員の要望だけを聞くのでも不十分だと思っています。
社員一人ひとりとコミュニケーションを取り、その時の状況や相手に合わせてケースバイケースで答えを出す。そして、会社全体として何が合理的かを考える。そうした総務を目指したいです。
さらに長期的には、総務だけでなく経理も担い、会社全体のバランスを見られる人材になりたいと考えます。
これは、私自身が経理から総務へ移り、総務経理部長を目標にした経験ともつながっています。
志望動機では、単に「総務になりたい」で終わるのではなく、総務としてどんな役割を担いたいのか、その先にどんな人材を目指しているのかまで言葉にできると、自分らしい内容になります。
『縁の下の力持ちになりたい』だけでは弱い理由
総務の志望動機では、次のような表現をよく見かけます。
- 縁の下の力持ちになりたい
- 人を支える仕事がしたい
- コミュニケーション力を活かしたい
これらが間違いというわけではありません。ただ、私ならこれだけでは正社員として総務に採用する理由としては弱いと考えます。
社員を支えることやコミュニケーションは、総務に限らず多くの仕事で求められます。場合によってはアルバイトや他職種でも実現できます。
正社員として総務を採用する背景には、会社側の課題があります。
- 数字に強い人材が必要
- システムに明るい人が必要
- 採用を立て直したい
- 業務改善を進めたい
- 将来、バックオフィス全体を担える人材がほしい
総務は長期的に会社の一員として働き、場合によっては会社やバックオフィスの立て直しを担う役割にもなります。
だからこそ志望動機では、『総務になりたい理由』だけでなく、会社が今どんな人材を必要としているのかを読み取り、自分の強みをどう生かせるかまで考えることが重要です。
会社が求めている総務像は、求人票だけでは分からないこともある
志望動機を相手に合わせるためには、会社がなぜ総務を募集しているのかを知ることが大切です。ただ、求人票だけで募集背景を正確に読み取るのは難しいと感じています。
企業はできるだけ多くの応募者を集めたいので、求人票では求めるスキルを広めに書くことがあります。募集の背景には、たとえば退職者の補充、人手不足、事業拡大、IPO準備などがあります。
退職者の補充や単純な人手不足であれば、必要な人数を採用できれば募集が止まることが多いでしょう。一方、事業拡大やIPO準備では継続採用も十分にあり得ます。だからこそ、求人票だけを見て『この会社はこういう人を求めているはずだ』と決めつけない方がよいと思います。
私は転職活動ではエージェントも活用し、給与や通勤条件などが合う求人にはある程度幅広く応募していました。30~40社ほど応募し、複数の面接機会をつくったうえで、面接の中で募集背景を確認する方が実態をつかみやすいと考えています。
面接では「募集背景」と「期待する働き方」を聞く
私なら、面接で次のように確認します。
『差し支えなければ、今回の募集背景を教えていただけますか?』
さらに最後の質問では、『もしご縁があった場合、私に期待する働き方を教えてください』と聞きます。
ここであえて『仕事内容』ではなく『働き方』と聞くのがポイントです。任せたい仕事内容だけでなく、部下育成の有無、残業の見込み、将来的な役職期待、現在のリーダーを支える役割なのかなど、会社側が考えているポジション像を幅広く聞けるからです。
その内容を聞いたうえで、自分がその会社で働きたいのかを判断すればよいと思います。
新卒と中途では、志望動機の作り方を変える
新卒と中途では、志望動機の重みが少し違うと感じています。
新卒の場合は、会社ごとに志望動機を変えるべきです。新卒採用では多くの学生が応募するため、テンプレートのような文章では『なぜこの会社なのか』が伝わりにくく、書類選考でも埋もれやすくなります。
一方、中途採用でエージェントを使う場合、企業とエージェントの間で、候補者の性格・スキル・経験が事前に共有されているケースがあります。そのため、私は無理に『昔から御社を志望していました』という話を作る必要はないと思っています。
私はこのように、事実を隠さず、そのうえでなぜ応募を決めたのかを伝える方が誠実だと考えています。
新卒で総務を目指す方は、新卒就活ガイドもあわせて参考にしてください。中途で総務を目指す場合は、未経験から総務へ転職する方法でも詳しく解説しています。
システムや業務改善を強みにするなら「まず現状を理解する」と伝える
総務では、システム導入や業務改善の経験は大きな強みになります。ただし、面接で『このシステムを入れます』『入社したらすぐにこう変えます』と断定するのは少し違うと思います。
会社ごとに現在の業務フローや課題は違います。まず現状のオペレーションを把握し、実際に業務を行う社員へヒアリングする。そのうえで、システム化するべきかを判断するのが先です。
システム導入では、導入費用だけでなく、どれだけ工数が減るのか、前後工程にどんな影響が出るのかまで見る必要があります。集計作業が簡単になっても、その前段階の入力や運用負担が増えるのであれば、会社全体では効率化になっていないこともあります。
現場の声を聞かずに進めると失敗しやすい
私が避けたいのは、『社員のためになるはず』と考えて、実際に使う社員の意見を聞かずにシステムを契約してしまうことです。
仕事が滞っている理由は、締切の問題なのか、システムが遅いのか、運用が複雑なのか、単純にルールが守られていないのか。それを確認しないままシステムを入れても、社員が使ってくれず、費用だけが残る可能性があります。
また、経営層が社員へ直接ヒアリングすると、立場の違いから『良いと思います』『使えると思います』と本音を言いにくいことがあります。総務が間に入ることで、『実は別のシステムの方が使いやすい』『システムを入れるより締切を守れば解決する』といった率直な意見を拾えることがあります。こうした声こそ、会社にとって価値があると考えています。
導入するときも、いきなり全社員へ広げるのではなく、まず少人数で始めるのが基本です。数名のプロジェクトチームをつくり、役職者も交えながら試行し、質問や不具合を整理してから広げる方が安全です。
私なら志望動機を6つの順番で組み立てる
総務の志望動機を作るなら、私は次の順番で考えます。
- なぜ総務なのか
- 総務についての具体的なエピソード(助けられた、憧れた、興味を持ったなど)
- 自分の強みを磨いたこと、総務について調べたり人と話したりしたこと
- なりたい総務像を描く
- そのために努力した内容を伝える
- そこで培った能力を応募企業でどう生かすか
この順番であれば、『総務になりたいです』だけで終わらず、興味を持った理由、その後の行動、成長、入社後の再現性まで一本のストーリーになります。
資格より先に、実際の総務社員を観察した
私が総務を目指したとき、最初にしたのは資格取得ではありませんでした。まず社内の総務社員がどのように働いているのかをじっくり観察しました。
社内での動き方を見たり、電話対応の内容を聞いたり、本人へ『普段どんな仕事をしているのですか?』と直接質問したりしました。実際の総務を見ることで、仕事のイメージを具体化していったのです。
私自身は資格を取ってから総務へ転職したわけではありません。ただし、資格や知識を持っていることが選考や実務で有利になることはあります。大切なのは、資格の有無だけでなく、総務の仕事を理解するために自分がどんな行動をしたかを説明できることだと思います。
履歴書は枠の8割を目安にし、志望理由4:自分6で書く
私は履歴書の志望動機を『何文字』と固定して考えるより、ダウンロードまたは購入した履歴書の志望動機欄の8割程度を埋めることを意識していました。
内容の配分は、感覚として会社への志望理由が4割、自分の経験・強みが6割です。
会社への熱意だけを書くのではなく、自分がこれまで何をしてきて、何ができて、その能力を応募先でどう生かせるのかまで伝えることを重視していました。
書類は短く、面接ではエピソードを加える
履歴書や職務経歴書に書く内容と、面接で話す内容もまったく同じにはしません。
書類では要点を短く整理し、面接では『なぜそう思ったのか』『実際に何をしたのか』『その結果どうなったのか』『入社後どう生かすのか』を具体的なエピソードで補います。
面接でよく聞かれる質問や、採用担当が回答のどこを見ているのかは、総務の転職面接でよく聞かれる質問7選で詳しく解説しています。
強みには必ず数字を入れる
私は、自分の強みや実績を伝えるときには数字を必ず入れるようにしています。
理由は、初めて会う相手に自分の経験の規模感をイメージしてもらうためです。『業務改善が得意です』『数字に強いです』だけでは、人によって受け取り方が変わります。
総務であれば、対応した社員数、管理したPC台数、採用人数、処理件数、削減した工数、コスト削減額など、できるだけ数字へ置き換えます。
私が使った実績例|3年連続で前年比粗利130%
私が実績として伝えられる数字の一つが、3年連続で前年比粗利130%という結果です。
ただ数字だけを伝えるのではなく、私はシステムを使った予実管理を徹底し、予算以上の支払いができないようロックする仕組みを作りました。
このように、『結果の数字』と『その数字を作るために何をしたのか』をセットで説明すると、自分の強みが相手に伝わりやすくなります。
「御社でどう生かすか」は、入社後の動きまで具体的にする
志望動機の最後は、『業務改善に貢献したい』だけでは少し抽象的です。
私なら、『まず現在の業務を把握し、実際に働く社員へヒアリングする。そのうえで費用対効果や前後工程への影響を確認し、必要であればシステム導入を含めた改善提案を行いたい』というところまで具体的にします。
ただし、まだ会社の内情を知らない段階で『このシステムを導入します』『このやり方に変えます』と断定するのは避けます。まず現状を理解してから判断する姿勢の方が、総務としての慎重さと実務感を伝えられると思います。
面接はこちらが会社を見極める場でもある
志望動機とは少し離れますが、面接では会社側から評価されるだけでなく、自分も会社を見ることが大切です。
オンライン面接でも、面接官の表情や態度、話を聞く姿勢は確認できます。社長インタビューや社内動画などが公開されていれば、事前に見ておくのも一つの方法です。
私は、どうしても拭えない違和感がある場合は無理に入社しないという判断も必要だと考えています。ただし、この点は志望動機そのものとは別のテーマなので、ここでは『応募先との相性も確認する』という程度にとどめます。
志望動機は「総務だから言える内容」にする
どの職種にも使える文章より、総務の仕事を理解したうえで書かれた志望動機の方が説得力があります。
たとえば、会社全体を見ながら仕事を進めたい、現場の声を聞きながら仕組みを整えたい、複数の関係者を調整しながら最後まで仕事を完了させたい、といった考え方は総務の仕事とつながりやすいです。
総務の仕事内容そのものをまだ整理できていない方は、総務の仕事を知る完全ガイドから確認してみてください。


